あの船はずっと雨に降られている。よそは晴れているのに、あの船の上にだけいっつも黒い雲があって、いっつも雨に降られている。一人ぼっちのずぶぬれ船長。
東西南北どっちにいっても雨降り続き。黒い雲はついてくる。黒い雲は雨を降らす。
船長は思う。「雨は止まないかな。雨の外に出ないかな。」
船長は陸を目指す。「陸なら多分雨が降っていないかも。」
船長は陸を見つけた。「港を探して陸に上がろう。陸なら多分雨が降っていないかも。」
でも、でも・・・。
船長は港を見つけられない。雨が降り続けているから。港を示す灯台の明かりも見えないから。
船長は思う。「港って存在するのかな?」
船長は陸から離れる。「もしかしたら港なんてないのかも。」
船長は思う。「もしかしたら世界はずっと雨降りなのかも。」