シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ脚本・監督、”アメリカン・スプレンダー”。実在の人物ハービー・ピーカーの半生記を映画化。
ハービーは病院の書類係で、ジャズとコミックを愛する収集家。二番目の妻にも愛想をつかされ、世の中に対して舌打ち、毒づくことでしか接することができない。社交性に欠け、目つきが悪く、うつむきがちで、でも寂しくて・・・。そんなハービーだったが、コミックの原作を手がけることによって、生活にわずかな光が射してくる・・・。
ハービーは”アメリカン・スプレンダー”というコミックの原作者。それまでのスーパーヒーローが主人公のコミックとは一線を画し、等身大の自分を主人公にし、日常的に自分が経験したことや周囲で起こったこと、友人知人はたまた全然知らない通りすがりの人の発言などをコミックに仕立て上げる。斬新で新鮮、そして毒がある。
当のコミックがそうであったように、この映画自体もとても斬新で新鮮だ。基本的に実写のドラマなんだが、途中でアニメになったりイラストになったり、実際のハービー・ピーカー本人が出てきてインタビューに答えてたり、さらにはハービーが出演した昔のTVショーの映像をそのまんま使ったり、構成・演出が非常におもしろい。まさしく【スプレンダー(輝き)】を放つ作品。
ハービーがあんまりいいヤツではないのがタマにキズ。とは言え、実在の人物だからしょうがない。興味深いけど友達にはなれない、そんなヤツ。諦めと寂しさを抱えてるところは親近感が湧くけど。
で、この監督コンビの新作が近日公開の”私がクマにキレた理由”。原題は”THE NANNY DIARIES”。ちょっと楽しみである。
アメリカン・スプレンダー
/ アミューズソフトエンタテインメント
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