吾妻ひでお著、”失踪日記”。
全部実話の失踪日記。漫画家吾妻ひでおが仕事も家庭も放っぽらかして失踪した日々のことを漫画にしている。ホームレス生活、配管工生活、アル中病棟生活の三つの期間から成り立っている。
単純に漫画としておもしろい。しかも実話って。巻末のとり・みきとの対談によると、『まぁ本当の本当に悲惨なところは避けてるんだけどね。』ってことだ。
朝早くにその日の食料さえ調達できれば、雨が降らない限り、後は悠々自適のホームレス生活。新聞雑誌は落ちてるし、図書館だってある。酒屋の裏に置いてある空き瓶の残り酒を集めれば、酔える程度の量にはなる。家とお金はないものの、だからこそなんのしがらみもない。何かや誰かとの軋轢やらなんやらから解放された生活。時間だけは目一杯ありながら、生きていくこと以上にすることはない生活。究極のシンプルライフ。エコやロハスの行き着くところはホームレス生活かもしれない。なんて思えるほどに、読めばなんだか楽しそうだ。
そのうち私がぷいっといなくなっちゃったら、『ははん、シンプルライフを実践するつもりだな。』と思ってくださいまし。えへ。
失踪日記
吾妻 ひでお / / イースト・プレス
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