本屋大賞受賞の”ゴールデンスランバー”が先日の直木賞の本命だったにも関わらず、執筆活動優先のために選考されるのを辞退した小説家・伊坂幸太郎と、2007年度キネマ旬報邦画ベストテンにおいて”天然コケッコー”が2位、”松ヶ根乱射事件”が7位という快挙を成し遂げた映画監督・山下敦弘の奇跡のコラボレーション、”実験4号”。
しかもこの”実験4号”、私がはまったロックバンド・The ピーズの代表曲のタイトル。でもって、どういうわけだかその”実験4号”をモチーフに現在ノりにノっている2人が片や小説、片や映像という自分のフィールドで表現するという、なんとも贅沢な作品。
まず山下敦弘の映像作品”It’s a small world”を鑑賞。少年たちの瑞々しさと自然さが素晴らしく、近未来の設定なのにノスタルジックな情景を丁寧に切り取ったような作品。いい。
そして伊坂幸太郎の小説”後藤を待ちながら”を鑑賞。ギターが抜けてベースとドラムだけでなんとなく続けているバンドマンたちとThe ピーズの現実のバンドストーリーのシンクロ具合、”It’s a small world”とのシンクロ具合、破綻も無理もなく見事。それでいて最後にはカタルシスがある。お見事。
タイトルはダジャレだけど・・・。
伊坂幸太郎、山下敦弘、The ピーズ、3者とも好きな人は稀だろうが、1組にでも興味があれば手にとって損はない。
なーんて書いたところで↓からトんでレビューを読んでみたらガックシ。伊坂ファンはダメみたい。山下&ピーズ大好きな私だから良かったのかもしれない。
何はなくとも”実験4号”の歌詞だけでグッとくる。・・・そんな私みたいな人にはいいんだろう。
ゆーわけで せっかくだし 悪いけど
続くよ まだ二人いる
何かまたつくろう 場所は残ったぜ
君と最悪の人生を消したい
そして最悪の人生を消したい
実験4号―後藤を待ちながら
伊坂 幸太郎 / / 講談社
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