デヴィッド・リンチ監督・脚本の”インランド・エンパイア”。
お蔵入りになった映画のリメイク作品を撮るというのがメインの物語。その物語と劇中劇、果てはお蔵入りになった映画、何かの意味ありげなウサギの語り、などが説明がないまま次々と映し出される。
”ストレイト・ストーリー”はさすがに別枠にしても、”ロスト・ハイウェイ”と”マルホランド・ドライブ”はとてもおもしろく観れたので、もしかしたら”インランド・エンパイア”もイケるかも・・・と思ったのだが、甘かった。ここまでぶっちぎりのリンチ・ワールドは私にはレベルが高過ぎた。難解というわけではない。なぜなら最初から理解する気がないからだ。リンチの映画を理解しようという気は全くない。リンチの映画は感じればいい。感覚に訴える何かに身を委ねていればいい。それは理解している。
しかしながら今作は前2作ほどにはうまく感じることができなかった。リンチの発散する熱が私にとっては多過ぎ、熱過ぎた。リンチのインランド・エンパイア(内部の帝国)があまりにも強大だったのだ。
決してつまらなかったわけではない。次々と襲ってくる映像と音楽の洪水に身を委ねれば、物語は放ったらかしにしても、3時間という時間を過ごせた。
時を置いて再見したいと思った稀有な映画。
インランド・エンパイア 通常版
/ 角川エンタテインメント
スコア選択: ★★★