いしいしんじ著、”東京夜話”。著者初の短編集”とーきょー いしい あるき”を文庫化にあたって改題。
東京の様々な地での話が、各編ごとにバラエティー豊かなスタイル、文体で収めてある。
こんな店をこんな感じでできたらハッピーだよな、と思わせる”うつぼかずらの夜”。古本屋に行きたくなる、なんだか哲学的な”老将軍のオセロゲーム”。ミステリーチックな”お面法廷”。映像化するなら板尾が主人公でダッチワイフとの二人(?)芝居を観たい”天使はジェット気流に乗って”。なぜか好きな”二月二十日 産卵。”などなど。
そんな素敵な話の中でもとびっきりのいい話が”クロマグロとシロザケ”。そんじょそこらのありふれたラブストーリーなんか簡単にブッ飛ばしてしまう程の美しさを携えた物語。さかなクンは号泣必至。一般人でも感動に打ち震えてしまうであろう、クロマグロとシロザケの恋愛物語。荒唐無稽と思うことなかれ、読み終えれば間違いなくその純粋さに心打ち抜かれてしまう。
あなたはここまで誰かを愛することができますか?その愛に殉ずることができますか?なんてことを問われているような気がしてしまう。
私の答えはまだ出ない・・・。
東京夜話 (新潮文庫)
いしい しんじ / / 新潮社
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