タイトルは飯嶋和一著”始祖鳥記”の文庫版の帯の言葉です。
”始祖鳥記”は思わずこう書きたくなるのがわかる素晴らしい小説です。江戸時代に、ただ大空を飛ぶことだけに執着した男、幸吉の物語。夢想家でありながらも禁欲的で、自分の力で一歩一歩夢に近づいていく様はとても美しく、心洗われます。ほんとに必読。
この著者、飯嶋和一をご存知の方は少ないでしょうね。上梓した本は五冊。三、四年に一冊のペースです。しかもインタビューなどでの露出は滅多にありません。加えて彼はあるときから文学賞と名のつくものを全て辞退しています。
この理由がいいんですよ。文学賞は出版社が設けているから、それを貰ってしまうとその出版社としがらみができてしまい、その後の創作活動に影響が出かねないからだそうです。
どうです、この男気溢れる理由。ただ大空を飛ぶことだけに執着した幸吉に通じますよね。飯嶋和一は、ただおもしろい小説を書くことだけに執着しているんです。こんな人間が書いた小説がつまらないわけがありません。
歴史小説が苦手な方は”汝ふたたび故郷へ帰れず”をお読みください。で、心動かされて歴史ものにも手を出しちゃってください。
飯嶋和一の小説を読んだことがない方は幸せです。未読の確実におもしろい小説があるんですから。もしこれからも未読のままならこんな不幸なことはありませんが・・・。
全日本人必読ですよ!!
始祖鳥記
飯嶋 和一 / 小学館
スコア選択: ★★★★★
汝ふたたび故郷へ帰れず リバイバル版
飯嶋 和一 / / 小学館
スコア選択: ★★★★
神無き月十番目の夜
飯嶋 和一 / / 小学館
スコア選択: ★★★★
雷電本紀
飯嶋 和一 / / 小学館
スコア選択: ★★★★★
黄金旅風
飯嶋 和一 / 小学館
スコア選択: ★★★★