
日本テレビドラマ、"女王の教室"。遊川和彦脚本。
6年生になった神田和美は小学校生活最後の1年を楽しもうと思っていたが、始業式に担任が参加しておらず・・・。
2005年の放送時は観ていなかったんだけど、その後、SNSで主人公・阿久津真矢が子どもたちに現実社会とは何たるかを教え諭すシーンが擦られ続けていて、機会があったら観たいなーと思っていたところ、TVerでの配信があったので観てみた次第。
毎回『この物語は悪魔のような鬼教師と小学6年の子どもたちの戦いを描いた一年の記録』と始まる。
悪魔のような鬼教師が阿久津真矢で、黒い衣装にまとめた髪、能面のような無表情で生徒たちに自分の言う通りにしなさいと言い続ける。それに反抗するのが和美と真鍋由介の2人。結果、2人は代表委員という名の雑用係をさせられる。
序盤、真矢が何を考えてどうしてこんな酷いことをさせるのかが全く分からない。けど、SNSで教えに満ちた台詞を散々見てきたので、ここはまだ伏線を張ってる状態で後半一気に盛り返すに違いないと信じていた。
んだけども。
これってたまたまこのクラスで、たまたま和美たちが賢かったからいいけど、じゃなかったらとっくに学級崩壊してるんじゃない?クラスの結束が固まって一丸となって勉強に勤しむようになるっていうドラマとしての結末ありきで、そのための壁を作るために遡ってあれこれ嫌なことばかりをやらせてるとしか考えられない。リアルにその結末に辿り着きたいなら初手のアプローチが間違っているというかリスクが大き過ぎる。絶対に生徒たちときちんと対話した方がいい。
だって最終話で真矢は『将来のことを考えるより今できることをしなさい』って言うのよ。それって和美が最初に「6年生を楽しみたい」って言ってたことそのまんまじゃないの。全くもって和美が正しい。卒業制作も運動会も修学旅行も6年生の【今】できることじゃないのかな。
真矢に言いたい。
「いい加減、目覚めなさい。あなた1人で生徒24人の全てを把握してケアすることはできないの。なのにそれをしようとして挙句に倒れる?睡眠不足?食事すらまともに取ってない?馬鹿じゃないの?
自己管理すらまともに出来ないのに他人のことに口出す権利なんてないわ。ましてや教師だなんて。ちゃんちゃらおかしいわ」と。
現在の社会に対して相当鋭利な針のような言葉でブッ刺してくれると期待して観たんだけど、真矢の言動が理解できなくてあまり響かなかった。
ただ、今作に出ている子どもたちはすばらしい。主演は天海祐希になってるけど、実質的には志田未来。出演時間も台詞の量も半端ない。もちろん演技も。12歳でこれをやり切ったのめちゃくちゃすごいと思う。今更ながら尊敬する。これから志田未来を見る目が変わる。そのくらいすごい。
あ、真矢が言ってた『幸せになるのは6%。だからこのクラスなら1人か2人』っての、『幸せになるのは』を『俳優として大成するのは』に変えたらあってなくもないかも。1人はもちろん志田未来。もう1人は伊藤沙莉。ちなみに由介役の松川尚瑠輝は"
虎に翼"にも出ていて伊藤沙莉と共演してる。先に今作での共演を知ってたら胸熱だったに違いない。

"女王の教室" ★★★★