
NHKドラマ、"舟を編む 〜私、辞書つくります〜"。蛭田直美脚本。原作は三浦しをんの同名小説。
大手出版社・玄武書房のファッション誌編集者である岸辺みどりは、突然辞書編集部への移動を命じられ・・・。
初回の冒頭、池田エライザ演じる岸辺みどりが海からのぼる朝日を見ながら涙を流す。そのシーンのみどりの様子を表す字幕の変化が秀逸だった。【嘆息】、【涕泣】、【嗚咽】、【慟哭】。これから始まるのは辞書の物語、言葉の物語であることを分かりやすく表現していた。
読者モデルから一念発起してファッション誌編集者になったみどり。かなりのプライドがあって当然だ。けれど時の流れのせいなのか彼女自身のせいなのか、ファッションとは縁もゆかりもない辞書編集部へと異動を命じられる。腐るのも当然だし、曲者揃いの辞書編集部に戸惑うのも当然。けれど徐々に辞書のすばらしさ、言葉の美しさや深さを知り、気付き、編集部の面々とも仲間になって玄武書房初の中型辞書【大渡海】の刊行に尽力していく・・・。
最高である。
徐々に辞書作りにのめり込んでいくみどり、辞書を作るために生まれたような馬締、編集部の他の面々、香具矢さん、製紙会社の宮本、装丁デザインのハルガスミ、みどりのお母さんにお姉さん(名前がさつき、姉妹でさつきみどり)、玄武書房の社長、最終的に誰も嫌な人がいなくて、みんな優しくて素敵で、こんなドラマが私は大好きなのである。
もしかしたら毎回どこかしらで泣いていたかもしれない。みんなが真摯に辞書作りに臨む姿に、赤ちゃんがみんな天パの図版に、ずっと勘違いして母に愛されていないんじゃないかと思い込んでいたみどりに、大渡海を紙で出版することに意味があると熱弁する馬締に、それがきちんと会社のためになるとプレゼンする西岡に、絶対みどりのこと好きだよなーと感じていた宮本に、校了直前だったのに新型コロナ関連の言葉を新たに載せようと一致団結した辞書編集部に。
改めて私は【言葉】が好きなんだなと思った。本も好きだし映画も好き。音楽も好きだしお笑いも好き。その共通点が言葉なんだろう。だから言葉を大事にするこのドラマがとても好き。用例採集カードを持ち歩きたくなるくらい好き。そして願わくば私も一緒に大渡海の第二版を作りたい。そう思ってしまうくらい好きなのである。
ちなみにこのドラマを観てから"川島明の辞書で呑む"を観ると、言葉の味わいが増して酒がより進む。いいのか悪いのか。