
立川譲監督、"BLUE GIANT"。原作は石塚真一の同名漫画。
雪の降る仙台の河原でテナーサックスを吹く18歳の宮本大。世界で一番のジャズプレイヤーになるべく東京へと向かう・・・。
Amazonプライムでもうすぐ配信終了の文字を見て、これはいかん!と慌てて観た次第。これが慌てて観て大正解。めちゃくちゃおもしろかった。
テナーサックスを独学で2年半、最後の半年はレッスンを受けて上京した宮本大。4歳の時からピアノを弾いてる沢辺雪祈。上京した大を家に泊めていた同級生の玉田俊二という3人の物語。
大学生の玉田がサッカーのサークルを辞めて、なんとなく大に感化されてドラムを始めた辺りでは「いやいやいや」と思っていた。この2人と一緒にやるのは無理でしょうと。
そしたら玉田ががんばるがんばる。ドラムセットも買っちゃう、36回ローンで。大学にも行かずに留年しちゃう。でも当然そんな急には上手くならない。
んだけども。
3人が【JASS】として初めてのステージに立って、玉田は数え切れないくらいのミスをして、でもそれから回を重ねるごとに少しずつ上手くなっていって、ミスの数も徐々に減っていった。そんな時に初めてのステージから観てたお客さんが玉田に『初ライブから8ヶ月、君のドラムはよくなってきている。僕は君の成長するドラムを観に来てるんだ』って言った時には私の涙腺が崩壊した。玉田ー!確実に推せる。
そんな初心者からの成長という物語を体現する玉田、努力の量と存在感と気持ちがザ・主人公な大、ピアノは上手くて技術力は高いのに人間性を否定されてしまって壁にぶつかる雪祈という物語としては完璧なスリーピース。おもしろくないわけがない。
そんな3人が求めたのは日本最高のジャズの舞台、【SO BLUE】。10代でここに立つためにがんばってきた。それなのに・・・。
何も知らずに観ていたので、かなりショック。再生をちょっと止めた。それくらい受け入れるのに時間がかかった。イーストウッドの"ミリオンダラー・ベイビー"くらいガツーンときた。
からのラストのステージは圧巻。あの場にいたお客さんは奇跡の瞬間に立ち会えたんだと思うと、とても羨ましい。私もあそこにいたかった。
と、フィクションと現実をごっちゃにしてしまうくらいすばらしい作品。慌てて観て本当によかった。JASS最高!