
アレクサンダー・ペイン監督、"ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ"。
1970年12月の寄宿制のバートン校。クリスマス休暇に入るため、大半の生徒たちは親元へ帰るのだが、居残ることになる生徒が数名。そしてそれを監督することになるのが【斜視】呼ばわりされて嫌われている歴史教師のハナムで・・・。
誰だかが2024年のナンバーワン映画に挙げていて、ライムスター宇多丸もそうらしいってのを知って観た次第。なので、どんな物語なのか予備知識ゼロ。なんならタイトルも"オールドホーバーズ"?"ホールドオーバーズ"?とあやふやだった。観始めても最初は物語がどこに向かっているのか分からなかった。
そしたら偏屈で嫌われ者の教師・ハナム、同じように嫌な感じの少年・アンガス、彼らの食事の世話をするために残る料理長・メアリーの3人が置いてけぼりになったところで今作の方向性を理解した。ホールドオーバーズ、直訳すると【残留者たち】なんだろうし、サブタイトルにも【置いてけぼり】ってあるけど、私なら【居残り組】って訳すかな、なんて思ったり。
3人が三者三様の過去を抱えていて、それが故に前へ進むことができずにこのクリスマス休暇を迎えていた。
ハナムは歴史の教師。過去を学ぶことで今を理解することができる、と教える立場。劇中でも度々そんなシーンが出てくる。
バートン校の教え、嘘をついてはいけない。劇中でも度々そんなシーンが出てくる。
その辺がきちんとフリになっていて、でも脚本的に全然ドヤ顔じゃない自然な感じが非常に心地いい。しみじみとした感動に繋がる。
たった2週間くらいの共同生活だったけど、それぞれにとってとても濃厚な2週間だった。
メアリーが小さくても確かな幸せに包まれますように。アンガスの未来が明るいものでありますように。ハナムにも何かいいことありますように。
そう願ってやまない。