
宮島未奈著、"婚活マエストロ"。
静岡県浜松市に住む猪名川健人は、40歳になった今も大学入学時のアパートに住んでいる。職業はWebライターといえば聞こえがいいが、いわゆるコタツ記事を書いて生計を立てている。大家の田中宏とは言葉を交わす仲で、知り合いの社長が会社の紹介記事を書いて欲しいそうで・・・。
語り手は猪名川健人だけど、言えば彼は"成瀬"における島崎みたいなキャラクターで、実際の主人公は【婚活マエストロ】こと鏡原奈緒子。本当なら女性だからマエストラなんだけどってところから学びがある。
そう、今作ではそんな微細なこと以上に、婚活業界のこと、そしてコタツ記事を書くWebライターのことについて学べる。知らないことっておもしろい。
流石に"成瀬"ほどのぶっちぎりのキャラクターではないし、読んでる間も同じくらいの没入感は得られなかったけど、するするっと楽しく読めた。
"成瀬"信者としては"婚活旅行者"編で滋賀へのバスツアーがあって、みんなでミシガンに乗ってるのが羨ましくて仕方なかった。ミシガン、いつかは乗ってみたい。
私自身は39歳の時に結婚して今に至るし、婚活ってものもしたことがなかった。今なら紹介カードに何て書くかなーなんて想像したらちょっとおもしろかった。
そしてあれだな、やっぱりサイゼリヤに行きたくなるな。鹿児島にできて欲しい店、第1位はサイゼリヤ。間違いなく。