
藤野千夜著、"団地のふたり"。
桜井奈津子の家には毎月、旬の野菜が届く。通販サイトで定期コースに加入しているからだ。結構な分量だけど、ふらっと立ち寄る幼馴染みのノエチこと太田野枝が毎月うれしそうに持ち帰ってくれる・・・。
ドラマを観てあまりの良さに原作を読んでみたくなった。
やっぱりドラマとは少々違う。ドラマではふたりが主人公だったけど、小説ではなっちゃんが主人公っぽくて、基本的になっちゃん目線で描かれる。
そしてこの物語をよくあそこまで膨らませたなと感心する。団地のふたりの日常が割と淡々と描かれているし、団地の面々もあそこまでキャラが濃くはない。
ていうか何より、この小説を読んで小林聡美と小泉今日子に出演をオファーした人、その感性とセンスに脱帽する。すばらしい。なんなら原作通りってよりも原作以上のキャスティングだと思う。あのふたりだったからこそのあの雰囲気、空気感だったと思うもの。マジでボーナスとかもらってて欲しい。
原作を読んで改めてドラマの良さを知るという珍しいパターン。原作でもラストはもちろん大晦日なんだけど、ドラマとは違ってまあまあしっぽり。ふたり紅白歌合戦を期待しながら読んでたけど、あれはドラマオリジナルの設定と演出だったみたい。
まあでも今作があったからこそのドラマだった訳で、そう考えると今作への感謝は尽きない。ありがとう、"団地のふたり"。