万城目学著、"八月の御所グラウンド"。
八月の敗者になってしまった、つまり夏の京都にいることになった大学生の朽木。高校からの同級生である多聞に呼ばれ、焼肉を奢ってもらい・・・。
と始まる表題作と短編の"十二月の都大路上下ル"を収録。直木三十五賞受賞作。
最初が"十二月の〜"で、不思議なテイストの青春女子駅伝物語だなーと思った。つまりはファンタジー?みたいな。
続いて"八月の〜"を読む。これまた謎テイストな大学生夏休み物語だなーと思っていたら、急にギアが入った。え、そんな話?ってなった。
なるほど、この2つの物語が一緒に収録されてる意味がちゃんとある。
そしてここが大事なポイント、"八月の〜"は感想文が書けない。何か書けば、即ネタバレになってしまう。これから読む楽しみを奪ってしまう。
ただ、導入部分からは想像できない物語だし、ほっこりする系のいい話ってことだけはお伝えしとく。
軽い筆致ながらも洗練された文章で、予想できない物語を紡いでいく。これぞ直木三十五賞受賞作と思った次第。