Netflixドラマ、"極悪女王"。鈴木おさむ企画・脚本・制作。白石和彌総監督。
1974年、松本香は母と妹と貧乏な暮らしをしている。酒乱で暴力を振るう父はたまに金をせびりに帰ってくる。ある日、たまたま全日女子プロレスの練習風景を目の当たりにして以来、香は女子プロレスのファンになる・・・。
ビューティーペアは2人の名前と歌くらいは知っていて、クラッシュギャルズと極悪同盟はリアルタイムで知ってる年代の私にしたら、当時のファッションや小物も含めて懐かしくておもしろくてたまらない。
それでいて女子プロレスのことはてんで知らなかったので、それぞれの物語がとても興味深くておもしろくてたまらない。
まずダンプ松本。ゆりやんレトリィバァが好演。前半はちょっとダメキャラでかわいい感じだったのに、それが一転して極悪になる。そのきっかけがちゃんと描かれてるのがいい。信頼していた人たちからの総スカンによる闇堕ち。第3話のラスト、いいわー。
そしてクラッシュギャルズの2人。ライオネス飛鳥を演じるのが剛力彩芽、長与千種を演じるのが唐田えりか。まず剛力彩芽の身体能力に驚く。プロレスシーンがめちゃくちゃカッコいい。でもって唐田えりか。これはもう熱演と言っていいでしょ。すばらし過ぎる。香と一緒に芽が出ずトレーニングする日々も、プロレスシーンも、リングの上もそうじゃないところも全部プロレスだって言い切るところも、ダンプ松本との死闘も。これで今後、仕事のオファーが絶えないこと間違いなし。
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ベイビーわるきゅーれ"とか"
ジョン・ウィック"とか、人がバンバン死ぬ映画やドラマを平気で山ほど観てるのに、どうして今作のフォークで額をグリグリして血が出るシーンには目を背けたくなるんだろう。マジで痛々しいし「やめてくれー」と思う。リアリティーってことなんだろうな。
そんなリング上でのあれこれがおもしろいのはもちろん、リング外でのドラマ、全女の興行の内情もおもしろい。テレビ放映権だとかブックがどうとか誰を担いで誰を切ってだとか。昭和のギラギラした人間模様が垣間見える。
オーディションに来た香に全女の社長が言った『結局は好きに生きたヤツが勝ちなんだよ』が、最後でまた出てきて、ああ、今作のテーマはそういうことなんだなと思った。中でもダンプと長与はもがきながらも好きに生きて、その【好き】を貫き通して、めちゃくちゃカッコいい。だから絶対に2人とも勝ちだ。