
リチャード・リンクレイター監督・脚本、"ヒットマン"。
2匹の猫と穏やかに暮らし、大学で心理学や哲学を教えているゲイリー・ジョンソンは、警察の捜査に裏方として協力していたのだが・・・。
凄腕潜入捜査官として70件以上を逮捕に導いた、実在の人物をモデルにしたやや本当の物語。
映画館で見つけたチラシ。大好きなリチャード・リンクレイター監督("
スクール・オブ・ロック"、"
6才のボクが、大人になるまで。")の新作ということで観ることは即決したものの、ストーリーを読んでみてもどうにもピンとこない。『偽の殺し屋に扮し地元警察のおとり捜査に協力していた』ってことは依頼者を逮捕するってこと?
観てみたらその通り。殺し屋に依頼してきた人を殺人教唆の罪で逮捕させるのが彼の役割。依頼者好みの殺し屋になりきり、殺しの依頼の発言と現金を証拠として逮捕させる。彼は一般人なので実際に逮捕するのは警察。
なんだけども、これって結構グレーゾーンじゃない?かなり依頼者をそそのかして殺人依頼に導いているような気がする。
と思っていたら、これまたその通り。後の裁判で彼も出頭して被告人の弁護士からその辺を攻められることしばしば。これじゃメンタルが持たないのでは・・・。
なんてところで美人の依頼者。いつもの対応をするのかと思いきや、まさかの説得を始めて『新しい人生を手に入れろ』と帰してしまう。えー?美人だから?好みのタイプ?なんてところから物語は大きく舵を切る。
ここから先は全く読めない展開だった。例えじゃなく本当に二転三転していく。
リチャード・リンクレイター監督の脚本、お見事・・・と思ったら、主演のグレン・パウエルも共同脚本に名を連ねている。なんと!
いろんな殺し屋を演じていて、これは役者さん楽しいだろうなーと思っていたら、まさかの自分で脚本を書いていたとは。そりゃー楽しいに決まってる。
しかも美人のマディソンとイチャイチャしやがって。あそこも自分で書いたんだろ。絶対そうだろ。そうに違いない。こんにゃろめ。
そんなこんなで最後、これはギリギリを攻めてきた感。観客が納得するか引くかのギリギリのラインを。私はギリギリで納得。
本編終了直後、エンドクレジット前の映像でホッとした。今作が【やや本当の物語】でよかった。