松本優作監督、"Winny"。
プログラマーの金子勇はファイル共有ソフトを開発したが、Winnyと呼ばれるそのソフトはネット社会で違法コピーを蔓延させることになり・・・。
実際の事件の映画化。
裁判の傍聴をしに行った日にお客様と話していたら最近今作を観たって話になって、興味がわいて観た次第。
冒頭で東出昌大ってクレジットを観て、初めて邦画だということを知った。てっきり洋画だと思っていた。もちろんWinnyも海外のソフトだと思っていた。そうか、日本のソフトで日本の話なんだ。なるほどなるほど。
で、なんとも申し訳ないんだけど、主演が東出昌大ってことで私の期待値はかなり低めに設定し直した。演技もそうだけど最近はイメージも悪いじゃない。なので全然途中で止めるのもあり、と思って観始めた。
そしたらこれがとてもおもしろい。
そもそもソフト開発者が逮捕されるってのが前代未聞で、悪用した人が捕まるのは当然だけど、それを開発した人まで捕まるのはおかしいって話。ナイフで刺した人は当然捕まるけど、ナイフを作った人は捕まらないのと同じ(劇中でのこの例え、非常に分かりやすかった)。
なのに捕まってしまったってところから物語が始まる。
ゆえに今作はほぼ舞台が法廷なのである。弁護側による事実の積み重ね、検察の目論見を読み取る力、尋問のテクニック。リアル裁判を傍聴したばかりだから非常におもしろい。
加えて警察の裏金問題も描かれる。これも
前に読んだやつ。なので理解が深い。
ソフト開発をしただけで罪になるなら、誰もソフト開発をしなくなる。新たなことに挑戦しなくなる。
金子勇氏は未来の技術者のために裁判で戦ったのである。
そして7年半かかって最高裁で無罪を勝ち取るも、42歳で早逝してしまう。
エンドクレジットでの本人のインタビュー映像が胸に迫った。