
デヴィッド・フィンチャー監督、"セブン"。
雨の月曜日。定年退職まで1週間のベテラン刑事サマセットが出勤すると、よその街から新人刑事ミルズがやって来て・・・。
昔観た映画をまた観てみようシリーズ。
30年近く前、今作を映画館で観た時のことは明確に覚えてる。観終わって地下の映画館からの階段を上りながら、なんて胸糞の悪くなる映画を観てしまったんだと後悔しつつ、「ていうかなんだこの映画は」と作品自体に怒りすら感じていた。
おそらくあの時から私のデヴィッド・フィンチャー不感症は始まったんだと思う。
あれからおよそ30年経ち、私の感覚も変わったかもしれない。しかも何より物語を、その結末を知っている。これは大きいはず。
そう信じて観てみた。
雨だし画面は暗いし、冒頭から嫌な雰囲気に満ちている。
そしてずっと犯人の姿どころか犯人目線のシーンすらない。観ている私は2人の刑事と同じ情報量しか与えられないのである。完全にハードボイルドな設定。
そのせいか犯人がとても謎の人物に思える。性別、外見、職業、動機、いわゆる犯人像というものが見えてこない。
なので急に犯人と対峙した時は一気に緊張した。昔観たはずなのに忘れていることが多過ぎて映画を新鮮に楽しんでいた。記憶力の悪さが功を奏したパターン。
そして犯人、ジョン・ドウが出頭してきてからは観ている私が優位に立った。ここから先は知っている。
起こることが分かっているので、車中でのやり取りがフリにしか見えない。ジョン・ドウの発言にしろミルズの危うさにしろ。
でもって結末。内容は知ってるので演技に目がいく。ブラピのアップでの表情、真剣に犯人と対峙しようとするのと耐えられずにクシャッと泣き顔になるのを繰り返すあの演技、すげーなと思いながら観ていた。
しかもそれまでグロいシーンはしこたまあったのに、ここでの肝心なものは全く見せないという演出も秀逸。それでも中にあるものがはっきりイメージできてしまう不思議。
結果、物語にしろ演出にしろ演技にしろ、よくできてるしよくやってるいい映画だなと思った。内容的に胸糞ではあるけれども。
時を経て観てみるのも悪くないなと強く思った。