ジョージ・オーウェル著、"一九八四年"。
39歳になるウィンストン・スミスが暮らすのは【ビッグ・ブラザー】率いる党が支配する全体主義的近未来。そこは監視と管理が徹底した世界で・・・。
SFの名作を検索すると今作と"星を継ぐもの"、"夏への扉"なんてのが必ず出てくる。どれも読んだことがないのでまずはこちらを読んだ次第。
のっけから私が期待していたSFとは別の雰囲気。えらく暗く、主人公には生気がない。読んでも読んでも気が滅入る世界。これもSFなのか、というのが正直な気持ち。
だけど今作が発表されたのが1949年ということを考慮すると、確かに近未来を描いたSFなんだなと納得する。しかも非常に予言書めいている点に驚きを通り越して気持ち悪くさえある。
鬱々としたモノクロームな世界を描く第一部。少しの彩りがとても華やかに見え、希望すら感じる第二部。急転直下で地獄のような第三部。
これを素直に「おもしろい」とは言えないなー。最後の【附録】なんて全く意味が分からなかったし。名作なんだろうけどなー。
なんて思ってSF大好きな方にどこがいいのか訊いてみたら、『ディストピアものの傑作です』と言われた。ディストピアもの・・・。
なるほど、そういうジャンルがあって、そういう世界を描いた小説だと納得した上で読めば、それはまた違った感じ方になる気がする。
にしてもディストピアものか・・・。絶対にハッピーなジャンルではないよな。これからの読む読まないの指針になりそうだ。