昨日は早くに目が覚めた。というよりあまり眠れなくて、もういいや、起きちゃえって感じで起きた。ワイフより先に。
ワイフが起きてきて、ルーティンのあつ森をやって、でもまだ余裕で午前中で、映画も観られるじゃんってなって、配信で映画を観てた。
映画の途中でワイフがリビングに来て、何か言いたそうにしてたけど、銀行に行くって出て行った。
映画を観終わって、携帯を手に取ってフェイスブックを開いた。何か不穏な雰囲気。ツイッターを開いた。完全に嫌な予感。トレンドの並びを見て嘘だろって思った。恐る恐る『チバユウスケ』って文字を押してみた。
ざっとタイムラインを眺めて、公式のを読んで、閉じた。
テレビを消した。
思い出して、出さなきゃいけない書類を書き始めた。ワイフが帰ってきた。察したらしい。『ご飯食べられる?』って訊いてきた。「ご飯は・・・」と答えるのが精一杯だった。
洗ったスニーカーに靴紐を通した。そんなことしかすることがなかった。
家でテレビとネットを見る気がないってなると、何もすることがないってことに気付いた。
ワイフがおにぎりとか作ったから食べられる時に食べてって言ってる。食べられたら食べることにしよう。
することもしたいこともないので寝ることにした。うまい具合に前日あまり眠れてない。
けど寝られなかった。頭の中にいろいろと渦巻く。
かといって悲しいわけじゃない。まだ全然受け止められていない。だから悲しくもない。涙もこぼれない。あるのはただただ虚無感だけ。
今日は忌引だと思った。休むつもりでいた。仕事ができる気がしない。
ベッドの上で布団をかぶってゴロゴロし続けた。
時間が経って思いは変わった。休んで家にいてもすることがない。休んでどこかに行く気にもならない。誰かと話したいわけじゃない。誰かと共有したいわけじゃない。なら店でオーダーされたものを提供する方がまだいい気がしてきた。
営業することにした。
店に来て掃除して仕込みして開店して。
しばらくして同級生のタケちゃんから電話がきた。落ち込んでると思うけどって。知ってたけど改めて思った。めちゃくちゃいい奴だなって。ありがとう。
ぼちぼち仕事して、誰もいなくなって、早仕舞いした。
カウンターに座って、バドワイザー飲みながら、大きめのボリュームでチバの歌声を聴いた。
それでもやっぱり受け止めきれなくて、悲しさを実感できなくて、だから涙もこぼれなかった。
2本目のバドワイザーを飲みながら、手持ち無沙汰でうっかり開いたインスタで、
ハルキの投稿を見て初めて涙がこぼれた。
僕の人生にも色を添えてくれてありがとう。
チバもうちの親父も55歳で亡くなった。
なので僕のとりあえずの目標は56歳まで生きるってことに決めた。
3本目のバドワイザーを飲み干して帰った。帰り着いたら速攻で寝た。
今日はご飯を食べた。おいしかった。
僕は今日も生きている。チバがいなくなった世界で。