ハーマン・ポンツァー著、小巻靖子訳、"運動しても痩せないのはなぜか 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」"。
人類進化と代謝の最新研究による決定的データに基づいたノンフィクションというかほぼ学術書。
タイトルが衝撃。けれど思い当たる節はある。間違いなくある。じゃあなんでなんだろ?という疑問の答えを得るべく読んでみた。
読み進めるごとに衝撃。そして納得。帯にもある嘘みたいな事実。
1日の総消費カロリーは、運動しても増えていなかった!
これに尽きる。理由は人間の進化による。狩猟採集をして暮らしていた200万年という期間と比べると、現代の生活なんてほんの僅か。なので人の体はまだ現代生活にフィットするように進化していない。
運動により多くのカロリーを消費したなら、残った今日の分のカロリーで通常消費をやり過ごすように割り振る。それが狩猟採集の頃に進化した人の体。今もそのままなのだ。
ならば痩せるにはどうすればいいのか。理屈は簡単。摂取カロリーと消費カロリーの差で太ったり痩せたりするわけで、消費カロリーは増えないんだから、摂取カロリーを減らすしかない。そう、食べなきゃ痩せるってこと。明白。
そんな当たり前のことを、ハッザ族を引き合いに出し、多くの最新データを基に、きっちりしっかり説いてくる。反論の余地を与えないレベルで。
じゃあ運動しても意味ないじゃん。走っても無駄じゃん。と思うけど、運動にはちゃんと意味がある。健康であるために必要なのだ。
ただ、走るのはもしかしたら無駄かもしれない。カロリー消費に関係するのは体重と移動距離だそうで、歩いても走っても時間が長いか短いかだけで距離が変わらないなら、結果的に同じカロリーしか消費しない。
・・・となると時間的な効率を考えると走った方がいいんだから、無駄ではないか。
と、記した以外にもいろいろと目から鱗の本書。
痩せる、運動をするということへの理解が深まったのは確実だけど、同時に今の生活じゃ到底痩せることはないなと確信した。
さて、どうしようかな。