NHK大河ドラマ、"鎌倉殿の13人"。三谷幸喜脚本。
1175年、平清盛が権力を握っていた時代。伊豆では北条義時が兄の宗時、姉の政子らとのんびり暮らしていたのだが・・・。
高校生の時に日本史をとっていたはずなのに歴史に疎く、しかもよく知られている戦国時代よりも更に前の時代ということで、今までの大河ドラマ以上に新鮮に観た。
そしたらこれがめちゃくちゃ人が死ぬ。戦より権力をめぐる争いの中で人が死ぬ。殺される。序盤の佐藤浩市は衝撃だった。あそこから死の連鎖は始まった。その連鎖の末に後半では合言葉が『首を刎ねればよい』だった。
なので(ってのもどうかと思うけど)話がめちゃくちゃおもしろい。大丈夫そうな人物だって殺されちゃうから。
話し言葉が今っぽいのもいい。何より観やすいもの。親近感も得やすいし。
いかにも三谷幸喜なコメディ部分も嫌いじゃない。あのくらいないとこの物語は暗黒極まりないものになりかねない。
と、非常におもしろく観たので、私的大河ドラマあるあるの「ついつい5、6回分溜めちゃう」が今作では発動しなかった。溜めても1、2回だった(溜めたんかい)。
にしても小栗旬である。最終回じゃ闇堕ちした報いを受けるかなりの年配執権だったけど、ここにきて初回を振り返る映像とかを観たら、なんともおぼこい少年じゃないの。え?小栗旬て1年で40歳くらい歳とんの?って思った。役者って凄い。
小栗旬で言えば、クランクイン前に時代考証と役作りの観点から、あぐらをかいた状態から手をつくことなくスムーズに立ち上がれるようにしたってのも地味に凄い話。
そんな小栗義時だけでなく、出てくるみんなが魅力的なキャラクターだった。
私的には中川畠山が好き。最期まで坂東武者でカッコよかった。『戦など誰がしたいと思うか!』は名台詞。
和田殿と巴の関係もよかったな。あと善児。怖い、怖すぎる。そして育てたトウにやられるのも彼の報い。
歴史に疎い私でも御成敗式目は知っていた。北条泰時が定めたもの。
坂口泰時、父の義時を反面教師にしてとてもいい人そうで、想像していた北条泰時像にぴったり。穏やかでできる人のイメージ。
一方で政子は権力を掌握せんがための稀代の悪女のイメージだったけど、小池政子は実に人間的で、結果的に悪女のイメージを引き受けたように描かれていて、これはこれでとてもいいなと思った。ラストも納得。
要はこの物語って、伊豆でのんびり暮らしていた田舎の一豪族が鎌倉でとんでもなく成り上がるって話。戦国の世なら信長秀吉クラス。
裏切って殺してここまで成り上がった北条氏。報いを受けた義時の亡き後はどうなったんだろう。歴史の本でも読んでみようかな。