
エリック・ラルティゴ監督・脚本、"エール!"。原題は"LA FAMILLE BELIER "。
フランスの田舎で酪農を営むベリエ一家。娘のポーラは父と共に牛の出産に立ち会う。父母と弟は聾唖者で、家族の中で彼女だけが唯一耳が聞こえて話せる・・・。
冒頭の状況で深刻な話なのかと危惧したけど、タイトルバックからのオープニングがカラフルなラインとかが出てきてポップで、これはポジティブな話だと確信した。
当然なんだけど、みんな手話がうまくてびっくり。しかも聾唖者の演技までうまい。お父さんもお母さんもそうにしか見えない。特にお母さんの聾唖者だけど手話でおしゃべりな感じがしっかり出せてるのがすごい。
そしてポーラの歌声がとんでもなく美しい。そんなつもりで観てなかったから、最初に聴いた時にゾワッとした。そこから終盤に向けて徐々に解放されていく感じがとてもいい。うまくなってるっていうより、自分に素直になっていってる、そんな感じ。だからこそ最後が涙もの。
正味100分の今作。切るところはバッサリ切る編集が潔くて好き。それでいて観せるべきは観せて、聴かせるべきは聴かせるし、逆に聴かさないという演出がまた素敵。
途中で、これは娘を家族の絆という鎖で縛り付ける夫婦の話なのではないか?と思ったけど、そこをみんなが納得する形でうまく越えた。家族として娘の意思を尊重し、家族だから娘の旅立ちを祝福する。いい家族、ベリエファミリー。原題なのも納得。
エンドクレジットでサブストーリーのその後ををあっさり描いてるのも粋。
そんな今作を踏まえて、アカデミー賞作品賞受賞のリメイク版、"コーダ あいのうた"も観てみよう。