日曜日の柳家権太楼独演会。
不勉強なので存じ上げない噺家さん。けれど、いつも桃月庵白酒を呼んでくれてる【ゆるいと亭】からお知らせが来たので信頼して行ってみた。
まずは6番弟子の柳家さん光。【さんこう】って読むんだけどっていう枕から"初天神"。真打までもうすぐの二ツ目だそうで、それなりにうまいなーと思って聴いていた。
そして柳家権太楼。写真より痩せていて、柔らかいながらも粋なオーラが漂っている。
2回の延期を経ての今回。普通なら流れるところだけどやって来れましたってところから始まった枕が抜群におもしろい。
ホルモン、社長、補聴器、志ん橋さん、濃厚接触者、どの話もめちゃくちゃおもしろい。完全にすべらない話。それも4、5本分。会場もどっかんどっかんウケてた。爆笑王の面目躍如。
権太楼師匠、声の大きさの調節がうまい。ここぞというところでビシッと張るから聴いてて刺さる。そして江戸弁が染みる。んでもって表情がお茶目。クシャッとした笑顔がたまらん。ちょいちょい毒っ気があるところが昔ながらの噺家然としていていい。
ゆるいと亭では初のネタ出しということで"文七元結"を演るのは決まっていたので、後半はそれ。となると前半は・・・というところから"一人酒盛"。
やっぱり酒呑み噺はおもしろい。とりあえず酔っ払ってる姿がおもしろいし。噺家さんによって酔っ払いっぷりが違うし。
あーおもしろかった。前半終了。
仲入り。
後半、登場しての第一声が『くたびれ果ててます』と権太楼師匠。確かに前半飛ばしてた。
けれど、いざ噺に入ったらこれがもうすばらしい、すばらしい、すばらしい。
特に番頭さんから奥さんへの場面転換なんて鳥肌もの。高座には着物を着た権太楼師匠1人しかいないのに、大店の番頭さんから一瞬で貧乏長屋の奥さんになっていた。周りの景色から何から、ちゃんと見えた気がしたもの。あれぞ噺家の技量。あれぞ話芸。
しかも人情噺なのに笑わせポイントもたくさんあって、泣けるやら笑えるやら。今までもこの噺は生で何度か聴いてるけど、こんなに泣き笑いの感情が交錯したのは初めて。
噺が終わって独演会終了。出囃子?戻り囃子?が鳴り始めたのを手で制して言ったのが、『緞帳がないから颯爽と帰りたいんだけど、足が痺れちゃってさ。だからみんな勝手に帰って』。
最後の最後まで爆笑王だった。間違いなく今まで生で観て聴いた噺家さんの中で一番笑った。おもしろかったし楽しかったし、何より美しかった。
権太楼師匠、また鹿児島に来たら絶対に行くけど、なんなら東京の寄席で観て聴いてみたい。それくらいすばらしかった。
ゆるいと亭からのお知らせ。
次回は、ほぼ1年ぶりの桃月庵白酒独演会。これも楽しみ。
ごきげんよう。