
太田愛著、"犯罪者"。
2005年3月25日、深大寺駅南口の駅前広場で繁藤修司は亜蓮を待っていた。約束の2時まであと5分。修司の周りには他にも人待ち顔の人たちがいて・・・。
2012年の作品。なのに今まで全く知らなかったって事実が恥ずかしくなるくらい趙ド級におもしろい。
読み始めて数ページで持っていかれる。そしてそこからはページを繰る手が止まらない。上下巻を一気に読み終えた。
2冊分とはいえ、控えめに言っても小説2.5作分の内容がある。それくらい濃密。しかも調べに調べて書いてあるから、めちゃくちゃリアリティーがある。とりあえず「メルトフェイス症候群」でググってみたもの。これはフィクションでよかった。マジで。
そしてそれらの文章を構成するプロットが実に緻密で、物語のドライブ感が半端ない。全く先が読めずに裏切られてばかり。つまりは読み物として最高ということ。
著者は人気ドラマ"相棒"の脚本を担当しており、脚本執筆の際の綿密にプロットを組み立てるという手法を小説に生かしてみようということで、初めて書いたエンターテインメント小説が今作だという。大事なことなのでもう1回。初めて書いたエンターテインメント小説が今作だという。・・・すげぇ。
こんな濃厚なのを読んじゃったらしばらくは小説はいいかなと思ったけど、解説を読むと続く"幻夏"、"天上の葦"で今作のメインキャラクターたちにそれぞれスポットを当てているらしく、となると2作とも読まざるを得ない。それもいち早く。これは忙しくなってきた。
と、超絶怒涛の今作。私が何きっかけで読んだかと言えば、普段は海外のハードボイルド小説や日本の大御所による時代小説しか読まない方が読んでいらしたのをSNSで見たから。あの方が読んでおもしろかったって言うなら間違いないと確信したのである。結果、大当たり。
こうなると同じ理由で"同志少女よ、敵を撃て"も読みたくなってくるな。本屋大賞以上に信用できるもの。