キャリー・ジョージ・フクナガ監督、"007 ノー・タイム・トゥ・ダイ"。
雪の中を行く1人の男。凍った湖の先の家には幼い娘マドレーヌと酒に酔った母親がいて・・・。
恋人のマドレーヌとイタリアに来たジェームズ・ボンドは、過去との決別のためヴェスパーの墓を訪れる・・・。
映画シリーズ25作目にしてダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドとしては5作目。今作でクレイグ・ボンドはラストとのこと。
だからなのかクレイグ・ボンドシリーズの総括的な作品でありながら、007映画として原点回帰の趣もある。
シリアスでハードな印象が強いクレイグ・ボンドシリーズだけど、今作は車にしても小道具にしても、いかにも007なガジェット感が強くて「これぞ!」と思った。
タキシードでキメたり、女性を口説いたり、マティーニのくだりがあったりと007のお約束をきっちり踏襲。
そして007映画を彩る女性陣、いわゆるボンド・ガールなんて3人もいて実に華々しい。
秘密の過去を持つマドレーヌはこの物語の最重要キャラ。
最初の車に同乗しているシーンが最高。あそこで完全に持っていかれた。
新たなる00(ダブルオー)エージェント、ノーミ。
黒人女性が00エージェントという2021年感。結構ガタイがいいのも素敵。
そしてなんといってもキューバでのお助けエージェント、パロマちゃん。
もう何このドレス。最高が過ぎるじゃないの。しかもかわいいだけじゃなくて強い。新人なのに。ボンドの扱いも堂に入ってたし。
もっと活躍するところを観ていたかった。
と、これら3人の麗しい女性陣に比べると、最凶の敵という触れ込みだった悪役サフィンの存在感は希薄だったように思う。
ていうかサフィンがどうこうってより、あの細菌兵器が最凶なわけで。
そしてそのせいで実に切ないラストになった。007なのに。うっかり泣きそうになるくらい切なかった。
170分もあっという間だったな。クレイグ・ボンドよ、永遠なれ。
またいつか映画館で会おう、ジェームズ・ボンド。