ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、"ボーダーライン"。原題は"SICARIO"。
【シカリオ】はスペイン語で【暗殺者】を意味する。
FBI捜査官のケイト・メイサーと彼女のチームは誘拐事件の容疑者宅を奇襲捜査する・・・。
先日観た"
ウインド・リバー"のテイラー・シェリダン脚本。今作もやっぱり物語は単純ではなく、進むにつれて複雑さと同様に設定の奥深さが増す。
静と動の間を大切にした演出、エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンらの演技もあって緊張感バリバリの2時間。
そして"
テスカトリポカ"で描かれていたメキシコにおける麻薬カルテルの強大さと怖さがここでも描かれる。
邦題が"ボーダーライン"で、主人公のエミリー・ブラント目線だと『善悪の境目が曖昧になっていく』って物語のタイトルとして正しいと思う。原題を知らずに観ていたので、そういうことだと思い込んでいた。
そしたら最後で原題の"SICARIO"ってタイトルが大きく出て、その瞬間に一切合切が腑に落ちた。冒頭の【シカリオ】の説明、物語の展開、デル・トロ演じるアレハンドロというキャラクター。
映画全体を捉えれば絶対に原題のままの"シカリオ"ってタイトルの方がしっくりくる。なんなら主人公はケイトじゃなくてアレハンドロじゃないかくらいに思える。最初からタイトルが"シカリオ"だと分かって観ていたら途中で感じることが違ったと思う。
そんな私に朗報。続編にケイトは出てこず、アレハンドロが主人公っぽい。今度こそ"シカリオ"だと分かった上で観られる。待ってて、アレハンドロ。