
テレビ東京ドラマ、"生きるとか死ぬとか父親とか"。井土紀州脚本。原作はジェーン・スーの同名エッセイ。
コラムニストの蒲原トキコ、ラジオパーソナリティーとして自身の番組でお悩み相談に答えるコーナーが人気である。母親を20年前に亡くし、父親である蒲原哲也とは別に暮らしている・・・・。
初回の冒頭6分がすばらしい。3人の女性が同じラジオ番組によって救われたり助けられたり笑顔になったりする光景が、特に説明もないまま映像と僅かな台詞だけで描かれる。
これだけでこのラジオ番組を聴いてみたくなるし、ということはもうこのドラマ世界に入り込んだわけで、連続ドラマのつかみとしては大成功ってことだ。本当にこの6分間だけで良質の短編映画のよう。
この初回冒頭ゆえに、そこから先がクオリティーの高いドラマだってのは約束されたも同然だった。
奔放で母にもトキコにも迷惑をかけてきた父・哲也。そしてそれは2人きりになった今現在も変わらない。しかも外っ面が良くて愛嬌があるのが身内からしたら余計に腹が立つ。
なんかよーく分かる。こんな父親と2人だったらいろいろと大変だよなーと想像できる。
僕自身、父親を亡くして23年が経つけど、もし今も生きていたらこんなだったような気がしなくもない。ていうか、かなり近いものを感じる。だから容易に共感できる。
と同時に、このドラマの過程で、トキコは今ままでの父親とのわだかまりや諸々を昇華できたことが羨ましくもある。もう僕には不可能なことだから。
主演の吉田羊と國村隼同様、若い頃のトキコを演じた松岡茉優もよかった。ちゃんと今のトキコに繋がっていたし、感情を爆発させるところと抑えるところの振り幅に説得力があった。だから観ているこっちも痛かったし悲しかった。
映画と違ってテレビドラマって脚本家のものだと思っているんだけど、初回の冒頭にしても、今作は監督でシリーズ構成もしている山戸結希の世界なんだなと思う。印象に残ってるのは銀座の飲食店での暗転シーン。
最終回でとんかつ屋さんから2人が出てきて、ワンカットだけ父母のバックショットになるのも素敵演出。
トキコのアカペラシーンもそう。その後にやっとタイトルバックとか。初回冒頭みたいにラジオを聴いてる女の子("
おちょやん"の香里さん!)がラーメン屋で泣いてるシーンとか。最後の文言とか。
詳細を説明することなく描いていた。だから詩のように感じることが多かった。
ずっとTVerで観ていたんだけど、ちょっと前から鹿児島でも深夜枠で始まった。
なのでまた観ている。購入済みの原作エッセイも読まなきゃいけない。あー忙しい忙しい。