月川翔監督、"響 -HIBIKI-"。原作は柳本光晴の漫画、"響 〜小説家になる方法〜"。
文芸雑誌【木蓮】の新人賞の公募はインターネットのみの受け付けになっているが、募集要項を無視した原稿が送られてきて・・・。
鮎喰響(あくいひびき)は高校に入学して文芸部に入部しようとするが・・・。
開始早々、ずっと送られてきた封筒を中心に据えたまま移動していく演出。いきなりのこれが全然カッコよくない。ちょっとのれないかもと不安がよぎった。
けれど、その後は特にそんな気になる演出はなかった。・・・のだが、いかんせん主人公・鮎喰響のキャラがヤバかった。15歳でいくら天才だからって、これは受け入れ難い。
敬語は使えないし、すぐ暴力に訴えるし、我慢ができないし。彼女なりの理屈とか理由があるのは分かるんだけど、にしても度が過ぎる。しかもめちゃくちゃ小説が好きで、めちゃくちゃ読んでいて、めちゃくちゃ理解も深いって設定じゃないの。それが全く自身の性格や資質に反映されてないのが不思議でならない。
加えて家庭環境が悪いわけでもない。ちゃんとした家庭っぽいし、自分の部屋もあって、お母さんからお使い頼まれて『はーい』つって行くくらいだもの。それも大好きな読書の最中に。ええ娘よ。普通に。ええ娘。それがなんでああなるかな。
と、疑問だらけの主人公なんだけど、演じている平手友梨奈はドハマりしているというパラドックス。ていうか彼女じゃなかったら今作は成立していないと思う。
そんな彼女がどんだけ目上だろうが権威があろうが、つまらない小説を書いた作家には容赦なくダメ出しをする姿は清々しいように映る。だけどそれはこの映画自体が完璧じゃないと全くもって説得力を持たない。彼女のダメ出しがブーメランとなって映画自体に返ってきている。
終盤、"豚小屋の豚"の感想を山本に語って欲しかったな。それで説得なり励ますなりして欲しかった。そしたら小説というものの存在意義が高まったと思うんだけどな。
と、全体的に「つまらない」というベクトルの感想文になっているけど、ちゃんと観た上で「つまらない」って書いてるんだから、製作者に文句は言われないはずである。これは確実。
"
響 -HIBIKI-" ★★★