
道尾秀介著、"いけない"。
誰が言い出したのだろうか、海岸線沿いの白沢(はくたく)市と蝦蟇倉(がまくら)市を結ぶ白蝦蟇(しろがま)シーラインを南下する際、左手に見える弓投げの崖を見てはいけないと。安見邦夫は、そんなことを思いながら車でその場所を通り過ぎてトンネルに入った・・・。
タイトルが"いけない"。帯には『緊急重版!!』の文字。『大反響の話題騒然ミステリー』。しかも『ラスト1ページが暴き出すもうひとつの"真相"をあなたは見抜けるか?』ときた。
煽りまくりである。
ページを開くと各章のタイトル。第一章、"弓投げの崖を見てはいけない"。第二章、"その話を聞かせてはいけない"。第三章、"絵の謎に気づいてはいけない"。終章、"街の平和を信じてはいけない"。
『いけない』煽りである。
そして白沢市と白蝦蟇市のサイクリングロードマップのイラストがあって本文。
謎めく煽りである。
かなり期待して読み始めた。
第一章、ほうほう。第二章、むむむ。第三章、んー。
と、ここまでは予想外におもしろくない。かなり期待外れである。
しかしである。まだ終章がある。しかもラスト1ページの真相とやらがあるはずである。となれば、ここまでは単なる伏線に過ぎないのである。なんならそのラスト1ページまではつまらなくてもいいのである。最後の最後でクルッと今までの世界がひっくり返るほどの驚愕を得られればいいのである。
さあさあ、終章、そしてラスト1ページ、見せてもらおうじゃないの!と、意気込んで読み始めた。読み終えた。
・・・は?
あ!もしかしてこれは最後の1ページではなくて次に本当の最後の1ページが・・・ない。
もしかして落丁本で最後1ページだけがないとか・・・でもない。
てことはこれが『もうひとつの"真相』。『あなたは見抜けるか?』の。
逆に見抜けないというか気付かないってパターンある?これはそうしかなくない?なくなくない?
結論。
迂闊に帯を信じてはいけない。
"いけない" ★★