
凪良ゆう著、"流浪の月"。
混んでる休日のファミリーレストラン。少女の前に生クリームのトッピングされたかき氷が置かれる。それを見て同席の男女が話し出す。少女が携帯電話で話し出し席を離れると、その姿を見た隣席の男子高校生たちがやいのやいのとしゃべり始めて・・・。本屋大賞受賞作品。
一章の"少女のはなし"はわずか6ページで、二章と三章の"彼女のはなし"がメインの物語。
幼い頃に奔放な両親がいなくなり、親戚の家に預けられた家内更紗。9歳の彼女は友だち付き合いが苦手で、公園で大好きな本を読んでいる方が好き。
その公園にはいつもベンチで本を読んでいる男の人がいて、雨が降り出してきた日、更紗に話しかけてきた。彼の名前は佐伯文という。19歳の大学生。
そんな2人が・・・という物語。
真実なんて誰にも分からない。当事者しか分からない。それも彼女にとっての真実は彼女にしか分からないし、彼にとっての真実は彼にしか分からない。彼女と彼にとっての事実は1つなのに、だ。
だから第三者になんか何も分かりっこない。
この物語は長い期間と数多の苦しい思いを経験した先に、自分が良ければそれだけでいい、という境地に辿り着いた2人のお話。
だから彼女と彼の関係に名前なんて付けられないし、他の誰も理解なんてできない。
けれどそれでいいのだ。何も問題はない。そしてそれで彼女も彼も幸せならば何を言うこともない。それが全てなのだから。
変に感動もしなかった。もちろん涙も流していない。
あるとすればちょっとした憤り。周りの人に対しての。でもそれはつまり自分自身に対してもってことなのかもしれない。
ふーん、って感じでごく自然に受け入れる。そういうのもいいんじゃない、って感じで否定はしない。それがこの2人への最上のリアクションのように思う。
更紗と文に幸あれ。