NHK大河ドラマ、"いだてん 東京オリムピック噺"。宮藤官九郎脚本。
東京オリンピック開催目前の1959年。寄席へ向かう落語家の古今亭志ん生は日本橋で大渋滞に巻き込まれ、その日の高座で50年前の日本のオリンピック初参加の噺をしだす。
時は1909年、柔道の創始者である嘉納治五郎はオリンピック・ストックホルム大会への参加に向けて悪戦苦闘していた・・・。
初回がダイジェスト版のような構成になっていて、現在と過去の時制がめまぐるしく変わり、登場人物も多く、時代設定が近現代ってこともあり、今までの大河ドラマのファンからしたら受け入れがたい、ついていけないってのも分からなくはなかった。
けれど、おもしろさで言ったら初回はめちゃくちゃおもしろかったし、批判されるようなものでは決してなかったと思う。
しかしながら視聴率は振るわず、その点においてメディアはこぞって叩いていた。今のご時世、視聴率で何が判断できるって言うんだろ?オンタイム視聴に頼るしかない高齢者が観てるかどうかくらいじゃないの?時代錯誤も甚だしい。
実際、放送があると毎回ネットでは話題になっていたみたいだし、数字上の視聴率と実際の視聴率には乖離があったとしか思えない。
そんなこのドラマ、振り返ってみると、私が心震えたり涙したのは女性たちの物語ばかりだ。
自らの想いを抑えたスヤさん(綾瀬はるか)、しかもその後に見事に金栗四三を支えるし。池部のお母さん(大竹しのぶ)の太っ腹っぷりもカッコよかった。
そしてシマちゃん(杉咲花)。私の中のベストキャラクター。走り出した瞬間が堪らなかった。そしてお別れが非常に悲しかった。
村田富江(黒島結菜)たち、お嬢様方もよかった。教室に立てこもってパパを呼ぶあたり、非常に好き。
人見絹枝(菅原小春)の大女ゆえの秘めた葛藤も心打たれた。
んでもって、りくちゃん(杉咲花)が出てきた時はテレビの前で声が出た。「シマちゃん!」って。金栗四三と同じく。
時は流れて前畑秀子(上白石萌歌)や東洋の魔女の河西昌枝 a.k.a.ウマ(安藤サクラ)の活躍の裏にあった物語に泣けた。
日本におけるオリンピックをめぐる数十年にも渡る物語。誰がなんと言おうと、まさしく大河だった。
そして、ただただクドカンの脚本が凄すぎた。原作もないのにあれだけの人数のことを詳細に描くだなんて、資料にあたるだけでもとんでもない労力と時間を要するし、その上で物語を立体的に構築するなんて、もはや神の所業と言っていいレベル。
視聴率なんて無粋なもんじゃなく、何かしら真っ当な何かできちんと評価されて然るべきだと思う。
三島と金栗のストックホルムオリンピック前夜から始まり、田畑 a.k.a.まーちゃんの東京五輪招致の物語を経て、最後はちゃんと金栗がストックホルムでゴールして終わりって、とっても素敵で見事なエンディング。
しかもこれって事実だから、当時のオリンピック委員会、とんでもなく粋なことしたな。54年と8ヶ月6日5時間32分20秒3でのゴール。すばらしい。
と、私の"いだてん"鑑賞も無事完走。年を跨いじゃったけれど。それでも最高じゃんね!そう!違う!そう!
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いだてん 東京オリムピック噺" ★★★★