”ロード・オブ・ザ・リング”でオスカーを手にしたピーター・ジャクソンがオタク気質を全開にして、彼が映画監督を志すきっかけになった1933年版”キング・コング”をリメイクした、2005年版”キング・コング”。
コングの登場まで1時間以上あるという造りこみっぷり。3時間を越す超大作だが観飽きることはない。
まずCGがすごい。疾走する首長恐竜の群れの肌の質感、ゆれ具合。お見事としか言いようがない。ほんと素晴らしい。
逆にわざととしか思えないほど、稚拙なCGもある。あきらかにセット撮影の海。ブルーバックにはめこまれた映像が違和感を覚えるほど調和していない。1933年版を意識したはめこみ方。オマージュだと思う。
そしてなんといってもコングの生き様がいい。彼は美女アンに恋に落ちた。種の壁を越えて。
寡黙な(当たり前だが)彼が彼女を片手に掴んで守ったまま、肉食恐竜3頭と不利な戦いをする。なんとか勝利を収めても彼女に対する態度はそっけない。しかし守り続けるという意志がはっきりと見える。これぞまさしくハードボイルド。
その後、ニューヨークに連れてこられた彼はアンを求めて街を彷徨う。その異形さゆえに街は混乱をきたす。
そしてアンとの邂逅を果たした彼は彼女を連れてエンパイアステートビルへと上る。逃げ場がなくなるにも関わらず、頂上を目指す。戦闘機との格闘。
しかし結果は推して知るべしだ。逃げ場がないのだから・・・。
つまり彼は自ら死を選んだのだ。アンとの恋は、種の壁によって決して結ばれることのない不毛の恋。それを確信した彼はその恋に、彼女への愛に殉死したのだ。
この映画はアクションでもキャラクターものでもない。実にハードボイルドな主人公のラブ・ストーリーなのだ。
キング・コング 通常版
/ ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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キング・コング
/ アイ・ヴィー・シー
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