日本テレビドラマ、"俺の話は長い"。金子茂樹脚本。
岸辺満は亡き夫が残した喫茶店を営む母と2人暮らしのニート。姉一家が自宅改装のために3ヶ月間だけ一緒に住むことになり・・・。
始まる前は全く興味がなくて、だけど清原果耶が出てるから初回だけでも観てみるかって思って観てみたら、これがもう始まって数分で主人公の満にシンパシーを感じまくり。
満の思考回路がすんなり理解できるし、ここまで饒舌じゃないにしろ、私もこういうことを言ってる自覚がある。しかもコーヒーが好きだなんて。そして店を出すも1年も持たずに閉店だなんて。私は本当にたまたま続けていられるだけで、その辺もかなり満寄りだと自覚している。
んでまた30分の話が2話ずつってスタイルもいい。非常に観やすい。しかもタイトルが毎回『飲食物と何か』なのもいい。
綾子姉ちゃんのパワハラ的な物言いに最初は嫌悪感しかなかったけど、これはこれで役割として必要だし、あれはあれで素直なリアクションなのも理解できたし、何よりそこから徐々に変化があったってことで非常に意味があった。最終回で満にエールを送るところ、よかったー。
房枝お母さんは常にきれいだしチャーミング。ちょっと抜けてそうだけど、実はちゃっかりしてるところがまた魅力的。牧本さんのことを『あの人は大切なお客さんよ。私が店を閉めるまでカウンターに座っててくれないと困る人』ってのがめちゃくちゃ素敵な台詞だった。自分の店に置き換えて考えてみたもの。
そう、その前の牧本さんの『おいしいコーヒーが飲みたいんじゃないんだよ。いつものコーヒーが飲みたいんだ』も非常に素敵な台詞。分かるー。
光司さんは途中から満化していったのが最高。グレーのパーカー欲しいわー。ニートの制服。そしてニートブラザーズのテーマ、最高。
からの春海登場での出世払いの歌。春海歌うんだ!ってなってビックリした。あのシーンだけはハードディスクから消せない。んで綾子姉ちゃんが動画を『もう1回観ていい?』って言うとこ、ジーンとした。
そんな春海、最終回でするっと光司さんのことを『お父さん』って呼んで、光司さん程ではないにしろ、テレビの前で私も「え?お父さん?うわ・・・」ってなった。春海ー!あ、光司さんがタクシーの運転手になりたい理由もよかったなー。
で、満。揚げ足取りと屁理屈の名人。重箱の隅つつきオリンピックなら金メダルクラス。でも6年もニート。あれでなぜか憎めないキャラってところがスゴい。脚本と演出と演者の力だと思う。
ていうかこのドラマ、タイトルが"俺の話は長い"だけあって満の台詞が多くて長い。で、それゆえに共演者の台詞も多くて長くなるわけで。脚本家も演者も本当にお疲れさまでしたと言いたい。
んでまた台詞が多くて長い分、素敵な台詞が多かったのも事実。とってもいいドラマ。
何回目かで気付いた。こんなドラマって昔はたくさんあったけど、今じゃ珍しいなって。特に大きな事件は起こらない、家族や近所の人たちだけでのドラマ。いわゆるホームドラマってやつ。あーこんなの好きだったよなーと思い出した。
核家族化、少子化が進んだ今じゃホームドラマって成り立たないんだろうな。家族が大人数じゃなきゃドラマにしにくいけど、それだとそもそもの設定にリアリティーがないもの。だから3ヶ月間だけの同居ってのが意味があったんだなって思う。そこでリアリティーの帳尻を合わせたんだな。
いやー、3ヶ月間、非常におもしろく楽しく観た。毎回、観る前から楽しみなドラマってそうない。そして毎回ちゃんと期待の上を行ってくれた。
最後、あの調子で満が面接に合格できたのかは疑問だけど。まあ今回ばかりは結果はいいか。『やれ』ってのが実践できただけで良しとしよう。
って、なんか房枝お母さん目線で満を見てしまっている私がいる。
そんな満、キャップが本当に似合わないってのだけは伝えたい。
ごきげんよう。