NHKドラマ、"浮世の画家"。原作はカズオ・イシグロの同名小説。
終戦から数年後、屋敷から出かける小野益次。高名な初老の画家だが、今はもう引退しており、散歩を日課としている・・・。
渡辺謙さん演じる小野益次が戦時中に何をしたのか、何を描いたのかが肝の物語。
現在の孫を溺愛する好々爺然とした振る舞いからは悪いことをしていたとは想像できない。
が、戦争とはそういうものなのかもしれない。当人は当人なりの信念を持って邁進しただけで、そこに罪の意識なんてなかったのだ。正義と信じて加担した結果、時を経たら加害者になってしまっていた。
だから今になって過去の自身のとった行動を振り返り、裏切った人たちに会い、気付かなかった真実に触れ、自身の立ち位置がグラグラと揺れてしまう。今更、良心の呵責に苛まれてしまう。
しかも表立って断罪されることがないのがまた苦しい。
今できることは、まだ小さい孫を含めた子供たちに愛情を注ぐことしかない。
橋の上で流した涙に後悔と謝罪を、そしてその涙を拭いて孫を抱いた姿に新たな決意を見た。
続きまして。
NHKコメディードラマ(?)、"君は天才!"。脚本・演出は細川徹。
大手広告代理店【電報堂】を舞台に、渡辺謙さんが主役を務めるコメディー。
『渡辺謙がコメディーに初挑戦!』って謳い文句に釣られて観てみた。
ら、これがとんでもなく贅沢な作り。お金も手間ひまもたっぷりかかってる。出演者からして豪華だし。
広告代理店が舞台だから当然CM制作の話なんだけど、その劇中CMのVTRをちゃんと撮影しているのがスゴい。それも何本も。
かと思えば、なぜか謎の生演奏での歌唱あり。それもデュエット。しかも間奏では渡辺謙さんによるトランペット演奏までも。
なんとも贅の極みを尽くした作りになっている。あ、セルフパロディーもあるし。
ただそれが全部おもしろいかって言われるとまたそれは別の話。スゴいのはスゴいけど。
って、私が観たのは地上波だったから短縮版だったみたい。
BS版は30分くらい長くて、顔面を洗濯ばさみで挟まれたり、頭から水をかぶったりしたシーンがあったらしい。
しまったな、渡辺謙さんのそんな姿、観たかったなー。
長尺版の再放送ないかな。
ごきげんよう。