
ダニエル・アルフレッドソン監督、"ハイネケン 誘拐の代償"。原題は"KIDNAPPING FREDDY HEINEKEN"。
1982年のオランダ、コルたち仲間5人は事業に行き詰まりを感じ、銀行に融資を求めるも断られる。所有物であるビルには不法占拠者たちが住み着いていて・・・。実際にあった事件を基にした物語。
いつも飲んでるハイネケンの経営者が誘拐される話ってことで観てみた。時間も1時間半ちょっとだし、サクッと観られるなと思って。
そしたらこれが期待以上の佳作。めちゃくちゃおもしろかった。
誘拐までに至る過程に彼らなりの理由があるし、そのやり口は大胆でありながら緻密で、物語としてもサスペンス映画としてもおもしろい。
しかも誘拐したらしたで、そこからが意外と長く、そしてそここそがこの作品の肝で、まさにサブタイトルの【誘拐の代償】を目の当たりにすることになる。主役たち同様に観てるこちらも先の展開が読めないので緊張感がハンパない。
その上、誘拐されるハイネケン役がアンソニー・ホプキンスだ。

いくら拘束して監禁しているからといって、無闇に近づいたら危険だって思ってた。だってあのハンニバルだぜ。レクター博士だぜ。よくみんな殺されなかったな。
そんなレクター博士じゃなくてハイネケン氏の言葉が、巨大企業の経営者で大富豪という、いわば百戦錬磨の強者ゆえの説得力に満ちていて非常に重い。
そしてこの物語の核心を見事に突いている。
『裕福』には2通りある
莫大な金を手にするか大勢の友人を持つかだ
両方はあり得ない
莫大な金を手にしたけど孤独なハイネケン氏。そんな彼はコルたち、誘拐という難事業に挑んだ5人を、お互いが信頼できる仲間たちだと羨んだ。今の君たちは金はないけど裕福なんだと。
この言葉の意味にコルたちが気付けなかったことが、非常に残念でならない。
ごきげんよう。