
柚月裕子著、"検事の信義"。
平成10年12月19日、米崎地方裁判所の法廷では検事の佐方貞人が論告求刑を始めた。傍聴席は裁判の旗色が変わったことでマスコミ関係者が多い。淡々と論告を読み上げていた佐方は最終的に『無罪と考えます』と言った・・・。
で始まる"裁きを望む"を含む全4編の連作小説集。
もちろん感想文を書こうと思ったのだが、前3作、特に検事になってからの前2作の感想文の内容と大して変わらないなと、さっき自問自答の末、結論した。
佐方貞人はやっぱり完全に萬平さんだし、罪はまっとうに裁かれなければならないと思う。そしてキャラクターも文体も物語も好き。だから柚月裕子作品で1番好き。
全くもって以前の感想文と変わらないのである。
あ、1つ気付いたことがある。"裁きを望む"、"恨みを刻む"、"正義を質す"、"信義を守る"という4編のうち、"正義を質す"だけが舞台が検察庁や裁判所ではない。旅先の宮島なのである。
佐方は広島出身で、前にも広島に帰省した話があった。それが普段と違う舞台設定だからか、妙に印象に残っている。
そんな米崎ではない場所での物語が、私は結構好きだってことに気付いたのだ。おそらく佐方の過去が垣間見えるからだ。いつもは目の前の事件に愚直に向かっているがゆえに語られない過去が。
いつか出るであろう続編でも、佐方の過去が語られる1編が収録されていて欲しいと切に願う。
ごきげんよう。