NHK BSプレミアムドラマ、 "盤上の向日葵"。黒岩勉脚本。原作は柚月裕子の同名小説。
埼玉県の山林で白骨死体が見付かる。埼玉県警は事件解明を急ぐが、その端緒となるのが遺留品、死体と一緒に埋められていた将棋の駒である。同じ頃、将棋のタイトル戦である竜昇戦に臨む上条圭介は・・・。
主演が千葉雄大。実業家から転身して異例中の異例でプロ棋士になった男を千葉雄大。なかなかの冒険だな。
ってのはまだいいんだけど、埼玉県警のベテラン刑事が大友康平。ん〜、これはちょっといただけない。
そして原作じゃ男性だった新米刑事が女性になってる。でも蓮佛美沙子だったのでよし。とてもよし。彼女はもっと注目されていいし、もっと評価されていいし、もっとたくさん仕事をしていていいと思う。(と、やけに推すのは"
白ゆき姫殺人事件"と"
べっぴんさん"で彼女の演技の振り幅に驚いたから。)
で、伝説の真剣師・東明重慶が竹中直人。ここだけ置きにいった感のある配役。こここそ冒険して欲しかったな。
それと上条のダメ親父役の渋川清彦。クズ男の役をやらせたら今この人の右に出る人はいないと思う。これは完璧なハマり役。
ドラマとしての作りは原作同様の骨太な作り。現在と過去を行きつ戻りつしながら描かれる物語は重厚で観応えたっぷり。
将棋を通しての人間ドラマとしても、真実はどうだったのかを知りたくなるミステリーとしても上等。
そして映像になったことで盤上の向日葵ってのを可視化できたし、見てみたかった初代菊水月作錦旗島黄楊根杢盛り上げ駒(ドラマでは初代菊水月作水無瀬島黄楊根杢盛り上げ駒)も見ることができた。
だからこそ配役が残念な気がする。だって最終回で出てきた女流棋士なんて、演技が素人過ぎたので、「はは〜ん。さては彼女は本物の女流棋士で、演技は素人だけど出演させられたパターンだな」って思ったら全然違って、元乃木坂のアイドルだと知ってぐぬぬ。
でも更に調べたら彼女、アマチュア初段で将棋親善大使を務めてるんだって。あら?てことは当たらずとも遠からず。でもそれがいかんと言うとんのじゃ。
ベテラン刑事が渋目の役者さんで(これはマスト)、主演がもうちょっと味のある顔立ちの役者さんだったらなぁ(千葉雄大はがんばったと思うんだけど)。
ごきげんよう。