NHK-BSドラマ、"螢草 菜々の剣"。渡邉睦月・森脇京子脚本。原作は葉室麟の小説、"螢草"。
鏑木藩の武家、風早家に奉公に上がった菜々。秘密にしているが、実は自身も武家の娘で・・・。
清原果耶が主演ってんだから、もはや観ないという選択肢はない。
"螢草"ってタイトルは原題でもあるし、物語の中で何度も出てくるし、その控えめな姿が主人公の菜々にも重なるし、至極真っ当である。
だがしかしサブタイトルの"菜々の剣"である。これは不必要というか蛇足というかミスリードを誘ってしまうというか。
私はこのサブタイトルのせいで素直に物語を楽しめなかった気がする。菜々がその剣をもってバッタバッタと悪を切り倒し、懲らしめていく様を勝手に思い描いてしまったからである。
全くもってそんな物語ではない。
菜々の剣は然るべき時に然るべき形で然るべき状況においてしか出てこない。だから特にそこを強調せずにいれば、菜々の剣!と驚いたかもしれない。
とはいえ、主役の菜々は健気で応援したくなる素敵キャラ。そして菜々に劣らず、菜々を助ける脇役たちも非常に魅力的なのが良い。
お骨さんこと舟、死神先生こと椎上節斎、だんご兵衛さんこと壇浦五兵衛、駱駝の親分こと湧田の権蔵。ニックネームも含めてみんな素敵。
それに比して菜々の父の仇である轟平九郎の憎々しいこと。
しかも今度は菜々の奉公先である風早家の主・風早市之進までも貶めようとしているだなんて。もう許せない!
と思うも、この轟が非常に聡明で狡猾。しかも剣術の腕もすこぶる達者。
そんな轟に菜々は一矢報いる、もとい、矢ではなく剣なので、一太刀浴びせることができるのか?というのが物語の骨子。
最終回、菜々は本当に命を懸けて轟との真剣勝負に挑む。仇討ちに臨むのである。
ここまでくると健気なんて言葉はもう軽く超越して、実に清々しい。結果はどうであれ、ここまで来た菜々は天晴れである。さすが武士の娘。
そして最後。見事な機転。それに助力した家老もよかった。
最後の最後、望む結末はただ一つだった。果たして、その通りになった。よかったー。
新たなる風早家に、菜々に幸あれ。
ごきげんよう。