レ・ヴァン・キエ監督、"ハイ・フォン ママは元ギャング"。
娘と2人で暮らすハイ・フォンは借金の取り立てをして生計を立てている。この取り立てがかなり激しいもので暴力も厭わない。そのせいもあって娘は学校でいじめられている。ある日、娘と2人で市場へ行って・・・。Netflixオリジナルのベトナム映画。
冒頭は空撮から始まっての取り立てシーン。結構エグい取り立て方。悪役?かと思いきや、実はこの取り立て屋の女性が主役のハイ・フォン。演じるのはベロニカ・グゥ。
全く馴染みのないベトナム映画。観てみようと思ったのは、ツイッターで『ベトナムの武術を使って母親が大活躍のアクション』みたいなツイートを見たから。
ベトナム、武術、母親、アクション。この4つのワードが揃うと観たことのない扉が開く気がした。
結果、やっぱりそうだった。
娘が誘拐されて武術に長けた元ギャングの母親が追跡するんだけど、この戦闘能力と追跡力がハンパない。
素手のアクションの速さとキレがすばらしい。
そしてバイクでボートを追跡って、まあまあ観るシーンだけど、ベトナムって土地が新鮮な映像を生む。未舗装の道だったり竹薮に入ったり。
かと思いきやホーチミンの警察のセキュリティーが極甘だったりと、物語の運び自体が極甘だったりする部分もある。
しかしそれゆえにアクションに負けず劣らず、展開までも非常にスピーディーになるので、難しいことを考えずにそのスピードに身を委ねてしまう。そっちの方が確実に気持ちいい。
ハイ・フォンが強いし肝が据わってるから安心して観ていられるな。なんて思ったのも束の間、敵方の女ボスが見るからに強そう。小雪を鬼にしたような顔面で筋骨隆々。対峙したハイ・フォンもたじたじ。あれは強いわ。サノスかよってくらい。
けれどハイ・フォンは諦めない。
そう、諦めない。今作には分りやすいメッセージが2つあって、1つは『絶対に諦めない』。もう1つが『恐怖に打ち勝つ』。
これをハイ・フォンは娘にも教えるし、観客である私たちにも訴えてくる。
なんやかんやでクライマックス、そんなハイ・フォンが自身のそのメッセージを体現するかのようにビシッとキメる。あの跳び蹴りは観たことないヤツ。なんか普通とは逆な感じでめちゃくちゃカッコよかった。あれがベトナムの武道ボビナムなのか。
と、そんな"ハイ・フォン ママは元ギャング"。『ママは元ギャング』が、いかにも日本の配給会社が付けましたな感じで超絶ダサいんだけど、それはさて置き、あのー、あれみたい。最強お父さんが大活躍の"
96時間"。
あれのベトナムお母さんバージョンみたい。ただし!ここ大事。今作の娘は"96時間"の娘みたいにボンクラじゃない。真逆。むしろお母さんよりも賢い。ここ大事。
てことはもう娘が誘拐されることはないだろうから、となると続編は難しいかもな。なんて思っちゃう。
いや、もしかしたらお母さんに武術の手ほどきを受けた娘が大活躍する話ならあり得る。なんて思っちゃう。
ということで、Netflixオリジナル in ベトナム、おもしろかった。