柚月裕子著、"検事の死命"。
久しぶりに訪れた飲み屋【ふくろう】では、テレビでプロ野球中継を流している。この店は米崎地検に勤める増田の上司である筒井が贔屓にしていて、今日はその筒井と直属の上司である佐方貞人と一緒に来た。店の親父が『変わったことと言えば、』と話し出して・・・。
で始まる"心を掬う"を含む4編からなる、地方検事の佐方貞人を主人公とする連作短編集。
柚月裕子作品も何冊目かになるが、今作の主人公である佐方貞人が最も好きなキャラクターだ。
20代後半という設定だけど、正義こそが第一という姿勢、そしてその信念を貫き通す様に、"
まんぷく"の萬平さんの姿を重ねてしまった。
だから読みながら私の中で佐方貞人は、ずっと萬平さんだった。長谷川博己ともちょっと違って、萬平さんだった。
口調とか考え込む感じとか思い付いてからの行動の速さとかが、まんま萬平さんだったのだ。
だからなのか、読むのが非常に楽しかった。検事ものなので、もちろん事件を扱っていてハッピーな話ではない。にもかかわらず楽しかった。
なので間違いなく今まで読んだ柚月裕子作品の中で一番好き。キャラクターも文体も物語も全て一番好き。
なので今作の続きはあるのかなーと調べたら、なんとなんと、実は今作が3作目だった。
え?どういうこと?まだ20代後半の設定なのに?
と思ったら第1作の"最後の証人"で佐方貞人は弁護士で、それも検事を辞めて弁護士になった設定だそう。
てことは時間的には今作の後が第1作ってことなのかな。第2作は"検事の本懐"だから検事の話なわけだし。
んー、こりゃー読む順番を大幅にミスったぞ。
・・・いや待て、それどころじゃない。最近、新作が出てる。第4作になる"検事の信義"。また検事!まだ検事!
おいおいおい。あー、じゃあもう、とりあえず1回、忘れてみようかな。今作を読んだことを。んで第1作から読み始めてみようかな。
なんて思ってる今現在。どうしたものか。
ごきげんよう。