NHKドラマ、"ゾンビが来たから人生見つめ直した件"。櫻井智也脚本。
同級生でアラサー女子の3人、みずほ、柚木、美佐江は訳あって一緒に暮している。テレビで近所の山中の施設が火事というニュースが流れたその日の朝も、他愛もない会話をして各々家を出たのだが・・・。
初回がとてもおもしろかった。主人公みずほが全く知らない女優さんてのもよかった。キャラクターに変な先入観を持たないで済む。
そんな主人公みずほ(演じるのは石橋菜津美)が初回開始早々、今の状況にうんざりしていて、夢も希望もなくて、別に通り魔に殺されてもいいや、なんて言ってたのに、初回終了間際、ゾンビに襲われそうになったら、やっぱり殺されるのは嫌!死にたくない!ってなった。
ああ、これが人間!これが生きるってこと!って感動すら覚えた。真意とか本心とか本能ってものの在り様に哲学を感じた。
またそこに至る過程で旦那の不倫相手が・・・ってところもよかったな。
初回30分で奇想天外な物語世界にすんなり引き込み、伏線を張って回収までし、その上で明確なテーマを提示するという実に巧妙な脚本。櫻井智也、覚えとかなきゃ。
ていうか、そう。このドラマはタイトルの通り、ゾンビが出てくる。気付いたらゾンビに取り囲まれていた系。経緯や詳細はさて置き、現実問題としてゾンビに取り囲まれている系。そこからどうサバイブしていくか系。
だから最初はバカバカしいハチャメチャなコメディーだと思って観始めたんだけど、まあ確かにハチャメチャな部分はあるんだけど、けれどそれ以上に示唆に富んだ言葉の数々が散りばめられていて、実に奥深いドラマだった。
のほほんキャラの柚木(演じるのは"
べっぴんさん"の君枝ちゃんこと土村芳→「つちむらよし」ってずっと読んでたけど、実は「つちむらかほ」だと知る)が、恋人の子供である夢ちゃんに『柚木ちゃんがお父さんと結婚したら、柚木ちゃんは夢のお母さんになるの?』って訊かれて「ん〜、ならないよ」『じゃあ何になるの?』からの答えが「お友だち」だった時は、本当にすばらしいなと思った。それでいい。それがいい。友だちがいい。無理して母親(もしくは父親)になろうとするからおかしくなるんだし。このスタンスは世に広まって欲しいなと思った。
と、確かにみんな、ゾンビが来たことで人生を見つめ直している。これまでのこととか、生きることの意味とか、生きることへの執着とかを自身に問うている。
まあね、みんないつか死ぬんだし。だから生きてるうちは、ちゃんと生きようと思う。できれば楽しく。そして、できれば強く。
生きていきたいなーと思った次第。
ごきげんよう。