
ジョー・イデ著、"IQ"。熊谷千寿訳。
ロサンゼルス、頑丈な玄関を持つ家に住む黒人青年のアイゼイア。車は新車で買って8年になるアウディ。いろいろなことが見えてしまう彼は探偵のようなことをしている。今日も彼のマックブックには依頼のメールがやってくる・・・。
外国の小説はあまり読まないんだけど、これはタイトルと表紙画に惹かれて手に取ってしまった。
アイゼイア・クィンターベイ、通称【IQ】なんて名前の黒人探偵っていう設定がクール。もちろんギャングスタじゃなくて、ちょっとリッチでインテリジェンスな雰囲気。
読み始めてすぐにIQのキャラクターのカッコよさに痺れた。第1章、思っていた以上にクールでおもしろい。
そしたら第2章が過去の設定。つまり現在と過去が交互に描かれていく構成になっていて、現在は現在の事件を、過去はIQが今の仕事をするようになった理由が描かれる。
となるとこれが大きな物語を2つ同時に読むことになるので、正直、しんどい。片仮名の名前がいっぱい出てくるし。こいつ誰だったっけ?ってなる。
だからこれってもしかしたら過去パートだけ先に読んで、次に現代パートを読んだ方が内容がちゃんと頭に入って来るんじゃないかしら?
ていうかそもそも第1章みたいな話がいっぱいあった方が好みだなーなんて思っていたら、最後の方でそんな感じになって、これこれこれ!ってなった。
まあでも全体的に嫌いじゃない。最近ヒップホップが割と好きになったってのも関係してるかもしれない。現代パートの事件はラッパーが依頼者だし。やたらと2パックの曲が出てくるし(聴いたことないけど&聴かなきゃ!)。
著者であるジョー・イデは日系アメリカ人ながら黒人居住区で生まれ育ったらしく、ゆえに黒人が主人公で黒人たちの世界を描いている。
だから会話や表現が白人のそれとは全く違って独特。かなりキツめで、原文じゃ日本語に訳しにくいスラングだらけなんだろうなと想像する。ところどころ原文じゃライムになってるんじゃないかとも思う。日本語じゃ感じられないリズムがあるんだろうな。
未訳だけど第2作、第3作も出ているみたい。読むかなー、続編。微妙だなー。でも最後の最後で気になる作りになってたしなー。
んー、タイトルと表紙画がクールだったら読もうかな。
ごきげんよう。