
クリストファー・ノーラン監督・脚本、"ダンケルク"。
1940年5月、英国陸軍のトミー2等兵はフランス北端の街ダンケルクでドイツ軍の攻撃に遭い、部隊内で1人だけ生き残り海岸へと辿り着く。そこでは多くのイギリス兵たちが撤退、帰国のための船を待っていた・・・。
現場である海岸(陸)、イギリスから向かう民間の救助船(海)、そしてドイツ空軍からの攻撃を防ぐためのパイロットたち(空)の3つの視点から成る物語。
またこの3つの視点は描かれる期間も違い、それぞれの1週間、1日、1時間を並行して描いていき、最後に1つに収束するという構成の妙もある。
しかしながらなんといっても映像の力、画力が凄い。CG嫌いのクリストファー・ノーランらしさがたっぷりで、それゆえに迫力がある。開始早々に映画館で観なかったことをちょっと後悔した。
無名の若手俳優が多く起用されており、また、台詞が全体的にかなり少ない。いかにも映画的なクライマックスも用意されていない。
言わばダンケルクでの撤退をテーマにした叙事詩。3つの視点で淡々と描かれていくし、そこで当然人は死んでいく。
悲しむ余裕なんてない。そんなことをしていたって置いていかれるだけだ。そこが戦争の虚しさであり怖さだと思った。
戦争においては『生きて帰っただけ』ってことが、とてもとても重要で、それが全てなんだって思った。
まだ帰れぬフランス軍のために自分だけ残った中佐(ケネス・ブラナー)と、やることをやって捕虜になってしまった英国空軍パイロット(トム・ハーディ)がカッコよかったな。
それと時の首相チャーチルに興味を持った。この流れでゲイリー・オールドマン主演の"ウィンストン・チャーチル"を観たいな。
ごきげんよう。