
ブライアン・シンガー監督、"ボヘミアン・ラプソディ"。
猫まみれの屋敷からロールスロイスに乗り込み会場へ。ライダースジャケットを預け、控え室からステージへ向かうと目の前には大観衆。
時は遡って1970年のロンドン、空港で荷物運びの仕事をする若者がいた・・・。
特にクイーンが好きなわけでもないしCDだって1枚も持っていない私。しかしながらこの映画の評判がすこぶる良く、しかも最後のライブ・エイドのシーンがまんまライブだという話で、これは映画館で観なきゃいけない作品だと遅ればせながら鑑賞した次第。
まず映画が始まる直前、20世紀フォックスのファンファーレからすばらしい。いつものファンファーレと音が違う。ブライアン・メイとロジャー・テイラーが演奏してる"ボヘミアン・ラプソディ"バージョンだそう。もうこれだけで胸熱。
と、そこから始まるクイーンの、そしてリード・ボーカルであるフレディ・マーキュリーの物語。フレディがクイーンの前身バンドに加入するとことから物語は始まる。
全く知識のなかった私はフレディの出自や口の特徴だけでもう情報過多。過剰歯で口腔が広いから声域が広いって理屈には、なるほどと膝を打った。
あとあのスタンドはないけど棒だけはあるマイクの由来も早々に描いてあって、再びなるほどと膝を打った。
いろいろな意味でマイノリティーな上に、家族内でも居場所がなく、相当な孤独を抱え込んでいたフレディ。このフレディって名前すらも彼が自分でつけたってのがもうなんというか。
そんなフレディがクイーンを結成してからは割とトントン拍子でバンドも物語も進んでいく。
あんまり知らないと思っていたクイーンだけど、劇中で歌われる曲のどれもこれもが聴いたことがある曲で、クイーンすげえってなった。
いや、すげえのは知っていたけど、こんなにもたくさん知ってる曲があるだなんて。
しかもフレディだけがすげえんじゃなくて、他のメンバーも作詞作曲をしていて、有名な"WE WILL ROCK YOU"なんてドンドンパン!のところからブライアン・メイのアイデアで、こりゃもうクイーンみんなすげえってなった。
邂逅、成功、衝突、裏切り、挫折、そして再生。実にきれいな流れの物語。さすがに全てが事実のままじゃないだろうし、言わば事実を基にしたフィクションなんだろうけど、それはあり。全然あり。知らないからこそ、それでいい。むしろそれがいい。映画的に盛り上がるならそれがいい。
ラストのライブ・エイド、オーディエンスが上げた拳の波で涙。最高のパフォーマンスと、それを受け入れての一体感。最高だ。これぞライブだ。
だからもっと聴きたかった。もっと観たかった。頭の中で「20分でしょ。1曲4分だとして今4曲目だからまだあるな」って考えながら観ていたら、そこで終わった。これがめちゃくちゃ残念だった。
もっと観たかったのにってのもあるけど、巷の相当な評判の良さ故に「もうちょっといけるはず!これはもう一盛り上がりくる!」って思い込んでたもんだから、若干「あら?終わった・・・。」ってなった。
これは映画が悪いんじゃない。勝手に過度な期待をした私が悪い。映画的にはあれで充分だ。そうだそうだ。
なんて思いながらエンドクレジットの曲まで楽しんだ。
そして観る前から分かっていたことだけど、案の定サントラをポチッとした。ROCK YOU!!

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ボヘミアン・ラプソディ" ★★★★☆