
日曜日の桃月庵白酒独演会。
最初に主催者の方の挨拶があって、そこで白酒師匠は東京では枕が毒舌らしいって話があった。
だからなのかは分からないけど、今回の枕は長くて毒に満ちていた。
なんでも白酒師匠、文化庁の芸術選奨の新人賞をもらったそうで、その時の顛末を実におもしろおかしく語ってくれた。
そりゃーいきなり携帯に知らない番号からかかってきたって出ないわなー。しかもしつこいから着信拒否も致し方ない。続いて家電にもかかってきてまた着拒。ウケる。
お役所仕事の慇懃無礼さを批判しつつ、ちゃんと笑いにしていた。やっぱり笑いっていうのは、お上にたてついてなんぼのスタンスが正しい。庶民の側に立ってこその笑いだと思う。
ジュリーも引き合いに出したりなんかしての長い枕。ちょっとずつ食べものトークに持っていっての麺類、ラーメン、蕎麦ときて噺に突入。
あの枕からだとこれしか思い浮かばないなーと思っていたら、まさにそれ。"時そば"だった。
これが内容が分かっていてもおもしろいし、分かっているからこそ物語を追わずに細かいところまで味わえる。
蕎麦を食べる仕草をじーっと見てみたり。うまいわー。白酒師匠、酔っぱらいの仕草もだけど、食べる仕草もとてもうまい。蕎麦のずるずるって音、見事だわー。
後半なんてフリオチの典型だし、次にこうくるってのが分かっているのにおもしろい。あれが噺家の技量なんだな。
でもってまずいそばはちゃんとまずそうに食べるし、こっちもまずそうだなって思うもの。うまいわー。
ちょっと引っ込んでまた出てきて次の噺。
粗忽者がどうしたこうしたって枕だったので、これかなーと思っていたら、まさにそれ。"粗忽長屋"だった。
絶対に理不尽な状況だし、粗忽っていうよりはもう馬鹿なんじゃないかってくらいの粗忽者たちなんだけど、そんなおかしな状況も納得させてしまうのがうまさなんだろうな。
下手な人がやったら訳わかんないだけのような気がする。
仲入り。
割と定番の噺が二つ続いたので次も知ってる噺のような気がして、私が予想したのは"居残り佐平次"。最近、NHKの番組で観たってのもあって。
そしたら枕の段階で四神拳(しじんけん)がどうしたこうしたって説明が始まって、てことはあれだ、聴いたことある、訛りのきっついおじさんが出てくる噺、えーと、あのーあれだーと思っていたら、まさにそれ。"百川"だった。
いやー、訛りのきっつい百べえさんが愛おしい。なんにも間違っていないもの。ただ周りが勝手に聞き違いしたり勘違いしたりしてるだけだもの。かわいいわー、百べえさん。
んでまた白酒師匠にフィットしてるんだなー、百べえさん。噺家ってのは自分に合う合わないで噺を決めるのかな。だとしたら大正解の噺だな。
後半なんてずっと声出して笑ってたもの。『袈裟懸けに切られて』でゲラゲラ笑ったもの。
おもしろかったー。超絶満足。
三つとも滑稽話で、とてもおもしろくて、今までで最も笑ったんじゃないかな。
おもしろいなー、落語。楽しいなー、落語。
白酒師匠、次回の鹿児島は来年の十一月。鹿児島では初めてのお弟子さんとの親子会だそう。まだまだ先の話だけど今から楽しみだ。
ごきげんよう。