日本テレビドラマ、"高嶺の花"。脚本、野島伸司。
自転車で疾走する月島もも。着いた先には1組の夫婦がいるも、ストーカー扱いされて警察に通報されてしまう。なんとか事なきを得て壊れた自転車を近くの商店街の自転車屋に持ち込むと・・・。
華道の名門である月島流の長女にして次期家元と目されている月島ももは、まさしく高嶺の花。そんなももが出会ったのはしがない自転車屋の店主、プーさんこと風間直人。超絶格差がある2人のラブストーリー。
主演が石原さとみと峯田和伸ってことで観ようと思った。野島伸司脚本にはあまり馴染みがないけど、クオリティーは高いものと信じて。
最終回前まではいい感じだった。
ドドンドドン!ドドンドドン!とド派手なオープニングはカッコよかったし、花という主軸がありつつラブストーリーという枠からはブレずに物語はドライブしていたし、展開の早さや驚きもあった。最終回前の第9話の冒頭なんて声が出たし、だからあのベタな出会いだったのか!と納得もした。
これは最終回が楽しみだわい。と、期待していた。
なのに。
最終回、それまでにあった月のような暗さ、時に暴力を伴うほどの儚さ、明日の見えないNO FUTUREな感じが全くなかった。
プーさんはクレバーさ皆無で別人のようにがむしゃらになり、ももは亡き母の生け花の在り方を知って『私はお花』なんて言い出す。ついには妹のななと抱き合って『私たちはお花』って言いながらキャッキャ。
明るい。実に明るい。微塵の暗さもない。月ではなく太陽の回。
しかも、ももとプーさんだけじゃなく登場人物みんなにとって太陽の回だった。全てが一気に好転した。龍一どころか、あの家元までもだ。
本当はもうちょっと長い話だったのに早く終わらせなきゃいけなくなったのか?ってくらい、唐突に違うテイストのエンディングが全員に用意されていた。
自転車で日本1周に出ていた中学生はみんなから『おかえり!』って祝福されるし。エンヴァンゲリオンの最終回か。
だからラスト、笑顔で『好きな人を思い浮かべて』なんて言いながら公園で生け花を教えていたももがちょっと怖かった。
実は無理してるんじゃないかと思えて。あっちのももを封印してこっちのももだけになって大丈夫なのかな?って心配になった。
野島伸司だからどんなドス黒いラストになるかと思っていたのに、まさかの全方位的ハッピーエンド。日和ったのか、そういう気分だったのか。
最終回だけ別の人が書いたんじゃないかって邪推したくなるのも致し方ない。むーむむむ。
そんな日テレ水曜10時枠。
次作はなんと、野木亜紀子脚本、新垣結衣・松田龍平主演の"
獣になれない私たち"。これはもう期待しかない!
早く来い、10月!
ごきげんよう。