
相場英雄著、"リバース"。
目白署刑事課の西澤辰巳は、万引き犯の身柄引受のために池袋の書店に出向く。戸田ふみ恵、六十四歳、万引きをするとは思えないくらい上品な老女に署で事情聴取をすると・・・。
予備知識なしで読み始めた今作。文体や物語の流れが好みでサクサク読み進められた。
第一章【残影】から第二章【記憶】へ進むと主人公が変わった。第三章【焦点】でまた変わった。
ここで分かった。各章で主人公が変わっていくスタイルなのだと。それも過去にあった失敗のせいでバラバラになっている警視庁本部捜査二課第三知能犯係の面々が次々に主人公を担当していくのだと。
そしてもう一つ各章に共通なのが、扱っている事件が福島に関係しているということ。
全体の構成と成り立ちが分かって更に読み進めた。物語が、敵が、大きくなっていくと期待して。
そしたら第四章【置文】と第五章【手帳】が、かなりのご都合主義展開だった。そのヒントを得るためだけの設定じゃないかってところが二章たて続けにあった。急激にしぼんでいった私の期待。
そこで嫌な予感がした。続く第六章は最終章だ。しかしどう見ても残りのページが少ない。これで最後まで描ききれるのか?との疑念が生じた。
そして第六章のタイトルを見た瞬間にその疑念は確信に変わった。第六章【着手】。
ああ、これは絶対に最後の詰めが始まったところで終わるパターンだ。間違いない。そこから先が読みたくて知りたいのに、スッと幕が下ろされるパターンだ。
・・・読み終えた。哀しいかな、その予想は当たっていた。なんだかなぁ。
ちなみに私がテレビドラマで観た"
リバース"は、湊かなえ原作の別もの。
あと五十嵐貴久の"リバース"もあるみたい。ついでだからリバース繋がりで読んでみようかな。と思ったらシリーズものの第三作だった。さすがに第一作から読むのはしんどいなー。
はっ!もしや・・・。(恐る恐る検索)
やっぱりー!この"リバース"も続きものの第三作だ!道理でー!"ナンバー"、"トラップ"ときての"リバース"だ!しまったー!
でも、そうと分かれば納得の構成だったな。ふむ。