
柴田哲孝著、"クズリ"。
ロシア、瀕死のダーリャはアレクセイに強烈なドラッグ【クロコダイル】をねだる。韓国人の呉康成は中国から韓国へ覚醒剤を運ぶ途中。ウクライナ船籍の貨物船チェルカースィからはスラブ系とも東洋系とも分からない目立たない顔立ちの男が本牧埠頭に降り立つ・・・。
タイトルの"クズリ"ってなんのことだろうと思っていたら、それほど大型ではないけど凶暴な性格のイタチ科の動物で、自分の体の数倍もある獲物を襲うこともあり、ロシアやアラスカではヒグマすら逃げ出すと言われているんだそう。
ふーん、ちなみにどんなだろ?って軽い気持ちで画像検索したら、めちゃくちゃ怖かった。

これがイタチの仲間?って思うほどに凶暴な顔。こりゃー【クズリ】って名前の暗殺者も相当な腕前に違いない。
そう、タイトルの"クズリ"は伝説の暗殺者の名前。十数年前に行方をくらました伝説の暗殺者が再び日本にって話。
そのクズリの過去を、現在を追う日本の警察。そして同じく現在のクズリを追うことになる香港黒社会の殺し屋2人。
クズリ、警察、香港黒社会の3つの視点が絡みまくって深い闇へと突入していくノワール小説。
北方謙三、大沢在昌の著作が大好きな母が辿り着いたという柴田哲孝。
確かに雰囲気は分かる。けど"新宿鮫"みたいなスピード感を期待していたのでちょっと・・・。
おそらく主人公クズリのキャラクターに奥深さを感じられないからだと思う。暗殺者だし内面をあまり明らかにしないってのも手なのかもしれないけど、読者としてはクズリに感情移入して同じように物語をドライブしたいわけで。(って書いてて、これはつまり"毒猿 新宿鮫Ⅱ"だと気付いた。)
それと香港黒社会の殺し屋2人が明らかにクズリより格下に感じるものどうかと。
主人公の単一視点による純粋なハードボイルド小説が読みたいなー。それも疾走感バリバリのヤツが。