山田参助著、"あれよ星屑"。
戦争が終わり生きて帰ってきた川島は闇市で雑炊屋を営んでいるが、店は人に任せて自身は酒浸りの日々。同部隊だった黒田門松とたまたま再会して・・・。
戦後間もない頃の市井の人々の暮らしが活き活きと描かれている。
戦争に負けて焼け野原になって、何もかもを失ってしまっても、生き残った人々は生きていかなきゃならない。貧しさと悲しさが充満している中に、わずかだけど楽しみだってある。
門松と出会ったことで川島も楽しみを見出し、人生に明るい兆しが見えたかのようだった。
けれど戦争の闇は深い。おいそれと逃れられるものではなかった。
仲間たちの死を背負うこと。それが生き残った者に課せられる使命ならば、生き残ることは死ぬことよりも辛いのではないか。
死ぬも地獄、生きるも地獄。戦争とは地獄を生み出すだけの装置でしかない。だからどんな大義名分も戦争をしていい理由になどならない。
僕はそう信じてる。